■海の家ではライブを開催することも
“オーナー”といいつつも、海の家での瑛人の仕事内容は従業員と変わらない。年季の入ったTシャツを着て素足で店内をあくせくと歩き回っては、料理の配膳やテーブルの片付けなどの接客をこなし、料理が出来上がれば「31番、ロコモコプレートのお客様。お待たせしました!」と店内マイクで呼び出し。暇があれば店先で客の呼び込みまで行う。
「パラソル立て、店内の掃除、ドリンク作り、なんでもやります。冷蔵庫や木材を各所から集めてきてペンキで色を塗ったりと、お店の設計もみんなで一からやりました。いつかオーナーと胸を張って言えたらいいですが、まだまだ勉強中ですね。
ライブがあるとき以外はいつも店に出ています。海の家は夏が勝負ですので頑張ります!」
“お客さんに本人だと気づかれることは?”と尋ねると、「まあ、たまに(笑)」とはにかんで答える瑛人。呼び込み中に海水浴客から声をかけられ、快くツーショット写真に応じる姿が取材中も度々見かけられた。
いっぽうで、東西に35軒の海の家が並ぶこのビーチではライバル店との競争も控えている。厨房で料理の腕を振るうのは湯浅さんだ。
「ウチの売りはバーベキュー。海の家では味わえないようなクオリティーの食材を提供しています。直人さんが監修しているため、料理の美味しさには自信があるんです。
時折、店内では僕のライブも開催しています。投げ銭でいきなり歌うこともあれば、弾き語りのサンセットライブを行うことも。いつも盛り上がりすぎちゃうので、もう少し落ち着いたライブにしたいですね」
現在の音楽活動についても聞いてみた。
「基本的には昔と変わらないです。最近はタイのバンドと仲良くなってタイ語バージョンの『香水』もリリースしました。海の家の営業が終わったら、日本&タイツアーを10月から行う予定です。
紅白に出たあの夜のことは、いまではそんなに思い出したりはしないですね。ただいい経験だったなというか…ほんとうに楽しかった思い出ですね」
プライベートでは’22年に幼なじみの一般女性と結婚、3児の子のパパにもなった。最後に”今後の夢”について聞くとこんな答えが返ってきた。
「音楽であっても、仮に全然違うことをしていても、“楽しい”って心から言えるような自分でいられることですね」
『香水』ブームから5年が経過してもなお、瑛人は変わらず素朴なままだった。
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