「夫を殺害した犯人が心神喪失で不起訴に…」漫画家・森園みるくさんが語った15年前の事件当日の後悔と「これからの夢」
画像を見る 漫画家のほか、最近は占い師の活動も行う森園みるくさん

 

■ “村崎氏の予言”と“霊媒師のひと言”で気持ちが楽に 

 

「以前から仲のよかったミュージシャンの友人が私を心配して、霊媒師さんを紹介してくれたんです。ウィークリーマンションまで来てくれて、その霊媒師さんから『(村崎さん)本人は(自分に急な死が訪れることを)わかっていたんだよ、大丈夫』と言われました。それで、“呼ばれていったんじゃ、仕方ないか…”といったような方向に考え方を変えることができて、だいぶ気持ちが楽になりました。

 

じつは事件の1カ月前。村崎さんは自分が殺されることを“予言”していたのだという。

 

「とても真剣な顔で、大事な話があると呼ばれて。『おれは、もうすぐここで包丁で刺されて殺されるんだ……』と伝えられました。

 

そのときは“何言ってんだコイツ”と思って。まったく信じてなかったんですけど。私に心の準備をしておけというつもりだったのでしょうか。村崎さんは、すごくインスピレーションの強い人でしたから。ただ、言われたのはそのとき1回だけ。だから、事件が起こるまでそのことは忘れていました」

 

村崎さんを刺殺した犯人は、精神鑑定の結果、統合失調症と診断され、通院歴や病歴から心神喪失等の状態にあったという理由から不起訴となった。森園さんはこれを不服とし、検察審査会に審査の申し立てと不起訴記録の開示を請求したが却下され、犯人は医療観察法に基づき、精神科病院への入院措置となった。

 

練馬警察署の調べによると、犯人は当初、『電波系』の共同著者である漫画家・根本敬氏を殺害するつもりだったが、当日本人が不在だったため、標的を変更、村崎さんの自宅に向かい、犯行に及んだのだという。

 

「犯人が罰せられるのであれば気の収めようもあったのかもしれません。でも、相手が心身喪失等の状態にある場合は罪に問うことができません……。不起訴処分は、遺族にとってはとてもショックでした。どこにも怒りをぶつけようがなく、本当に辛かった。

 

それに事件後、入院中の犯人が根本敬さん宛に何枚にも及ぶ分厚い手紙をよこしたんです。私も読ませてもらったのですが、紙の裏かなんかに鉛筆の殴り書きで、もう、意味不明でした。何を書いてあるのかまったくわからなかった。もちろん、謝罪の言葉なんていっさいありませんでした。

 

その手紙を見たときに、『謝罪の気持ちをもつような思考の人じゃない』『この人に何かを求めてもムダだ』と思いました」

 

やり場のない怒りに思い悩んだ森園さんは、警察から「犯罪被害給付制度」という国の制度があることを教えてもらい、申請することに。犯罪被害者等給付金として満額(約1千万円)に近い金額を受け取ることができたという。ただ、夫を突然失った悲しみが癒やされることはなかった――。

 

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出典元:

WEB女性自身

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