■頭を見せるとたちまち人が集まってきて…
息子も、パパの活躍は本当にうれしかったようで……。
「『8番出口のおじさんだ!』と気づかれることが多くなって。帽子をしてないとわらわら寄ってきて、逆にかぶると本当に気づかれない(笑)。だから出かけるときは帽子が必須なんですが、この間息子とショッピングモールを歩いていたら、突然僕の帽子をパッと取って『8番出口のこうちやまと、こうちやまと!』って叫ぶんです(笑)。恥ずかしかったけれど、息子なりに僕の仕事を認識してくれているみたいです。うれしいですね」
そして2度目の共演となった二宮の演技についても語る。
「昔、新潟で新聞配達をしていたころ、つらく葛藤の日々のなかで嵐の曲に励まされていて……。その二宮さんといま共演って不思議なんです。舞台挨拶で『塩こしょうだけで勝負するぐらいの作業』と言っていましたが、あの味付けで、飽きずに見せるっていう微妙な加減は、二宮さんにしかできない。しかも自然にやってのける。計算か計算じゃないかわからない、ある意味シームレスで、すごかった」
遅咲きの俳優は舞台を中心に活躍してきた実力派が多いが、河内さんは、どう受け止めているのか。
「導かれたような流れだなって。僕自身は遠回りしているようで近道をしているのだと思っています」
河内さんの強みは、次につながる出会いにいつも恵まれたこと。
「若いころに先輩からいただいた『自分なりの美学と哲学を持たないといい俳優にはなれない』という言葉はずっと胸に残っています。あの“おじさん”の演技も、相当無理をしています。同じことをやり続けるっていちばん大切だと思うんです。真摯に続けた先に、おじさんならおじさんの“型”ができあがる。それが職人技になって、誰にもまねできない、それぞれの人生や芝居の型ができるもの。それがやっぱり美しいんじゃないかと思うのです」
今後について聞くと……。
「いつか信長を演じてみたいですね。舞台や、大河ドラマでも。まさに“信長の野望”です」
さまざまな俳優が演じてきた役だけに、どう演じられるのか、楽しみだ。今後もますます、「河内大和」から目が離せない。
画像ページ >【写真あり】釜山国際映画祭の韓国プレミアにて、妻、息子との“家族写真”(他4枚)
