■「大切なことを気づかせてもらった」鈴木京香と共感し合った横田さんの“金言”
そんな松谷が横田さんと初めて顔を合わせて会ったのは、新型コロナによる行動制限が緩和された後だった。
「それまではずっとリモートでお話しさせていただいていたのですが、コロナ禍が明けて慎太郎さんの地元である鹿児島でようやくお会いできました。大好きな慎太郎さんに会えることを楽しみにしていたので、“やっと会えるんだ”と感激しましたね。僕から“今の目標は何ですか?”と質問したら、『病気になってから本当に色んな人に助けてもらったので、自分と同じように病気で苦しんでる人たちの助けや支えになることが今の目標です』という風におっしゃっていて。講演会の活動なども本当に一生懸命されていて、僕も講演会に行かせていただきました」
今年9月26日に甲子園球場で行われた阪神対中日戦では、母・まなみさん役を演じた鈴木京香(57)とともにファーストピッチセレモニーに登場した松谷。横田さんの背番号だった「24」のユニフォームに身を包み、横田さんから譲り受けたグラブで投球に臨んだ。
その際には、鈴木と秋山監督と一緒に甲子園球場の歴史を伝えるミュージアム「甲子園歴史館」も見学したという。
「阪神の選手が入団したら、色紙にサインとひと言を書く文化があるらしく、保管されていた慎太郎さんの色紙を特別に見せてもらったんです。慎太郎さんのサインの右上には、『日々成長』という言葉が書いてあって。それを見て、僕と京香さんは『亡くなった後も色々教えてもらっているね』『これだよね』みたいな話になって。僕らの中ではいま、『日々成長』がテーマといいますか。役者としても人としても、毎日少しでも成長したいという思いがありますし、慎太郎さんに大切なことを気づかせてもらったと感じています」
横田さんの“金言”を共感し合ったという松谷と鈴木。そんな2人はカメラが回っていないところでも、親子のような関係性を築いていたようだ。
「京香さんとは、撮影に入る1週間前ぐらい前に衣装合わせで初めてお会いしました。その時からすでに、僕を本当の息子のようにフルオープンな感じで接してくれたので、僕もすぐに“お母さんだ”と思えました。とはいえ、僕は京香さんに対してかなり緊張していたので、“話してもいいのかな?”といった遠慮はありました。京香さんも僕が緊張していたのを察してくれていたようで、車の移動で一緒になったときには、“他に何かやっていたの?”“何か趣味はある?”というように話しかけていただきました。とても嬉しかったし、ありがたかったです」
横田さんを「慎太郎さん」と親しみを込めて呼び、インタビュー中も横田さんのグラブを大事そうに傍に置いていた松谷。最後に今後の目標や挑戦してみたい作品を聞いてみると、こんな答えが返ってきた。
「この4年半ぐらいずっと本作のことしか考えていなかったので、どんな作品に挑戦したいかは、正直まだイメージが湧きません。でも僕は、チャンスがあれば何でもやりたいという気持ちでいます。本作のように苦しんだり、悩んだりしている誰かの背中を押せるような作品にまた出会えたら嬉しいですね」
“人生の師”と仰ぐ横田さんを演じた経験は、人生の飛躍へとつながるはずだ。
ヘアメイク:川上ひかり
スタイリスト:船橋愛加
写真:谷口雄介
画像ページ >【写真あり】鈴木京香と松谷のW主演作「栄光のバックホーム」(他20枚)
