「70歳も見えてきて『今を楽しまなきゃ!』という思いが強くなっているんです。わが家に、仲間たちが集まっておいしいものを食べてしゃべりたおす。それが何より楽しいですね」
そうエネルギッシュに話すのは、今年8月にデビュー50周年を迎える女優・名取裕子さん(68)。“2時間ドラマの女王”の異名をもつ名取さんだが、節目の年に公開された主演映画『テレビショッピングの女王「青池春香の事件チャンネル」』は、まさに2時間ドラマのエッセンスが詰めこまれた作品だ。
「私は、ちょっとタカビーなテレビ通販のカリスマバイヤー役。友近さん演じる実演販売の女王でもある“関西のおばちゃん”とのコンビで殺人事件を解決していくサスペンスです。昭和、平成と、かつては2時間ドラマって毎日のように放送されていた“文化”でしたよね。その“サスペンスあるある”が楽しめます。もちろん“崖のシーン”も出てきますよ(笑)」
■健康診断後、医師が「改善しないと本当に危ない」と通告
撮影は昨年の6月から始まったが、じつはそのころ、名取さんの健康に黄色信号が灯ったという。
「私はお酒を飲まないんですが、遺伝的に肝臓が弱くて。健康診断で肝臓の数値が正常値の3倍もあり『脂肪肝』と言われたんです。お菓子を食べすぎていたせいもあったみたいだけど(笑)」
ちゃめっ気たっぷりに笑う名取さん。大女優も、本誌読者と似た悩みを抱えていたとは――。
「医師から『改善しないと本当に危ない』と言われて。食事を見直して、3カ月で正常値まで戻すことができました」
脂肪肝といえば、肝硬変や肝臓がんの引き金にもなる疾患だ。短期間での肝機能改善にあたっては、冒頭の仲間たちのサポートが大きかったと振り返る。
「脂肪肝と診断をされた後、友達に『ヤバイ!』とSOSを出すと、みんなが、きのこや海藻類を使った健康レシピを教えてくれたんです。やりとりは夜中まで続いて、それほど心配してくれるのがとてもありがたくて」
交流があるのは、仕事現場のスタッフから、釣りやアートなど趣味をきっかけに知り合った人まで幅広い。子育て中のママさんから、親を介護中の人、離婚してシングルになった人――。世代も環境も違う仲間の存在が、かけがえのない宝物だと名取さんはしみじみと話す。
「みんなさまざまな人生経験をしていて、まるで社会の縮図のよう。だから、誰かが困ったときは、『何かできることある?』と、それぞれの経験をもとにアドバイスし合える関係なんです。
私は両親を早くに亡くしていて、どちらかといえば縁が薄かったけれど、こうやって弱みを見せられる仲間たちがそばにいてくれるというのは、本当に恵まれていると思います」
そんな仲間たちのおかげで、孤独とは無縁のようだ。しかし、意外なのは、名取さんがこれまで“おひとりさま”を貫いてきている点だろう。
「一緒に食事に出かけるボーイフレンドはいろいろな世代にいますよ。昔は年賀状に『今年こそ結婚します!』と書いていた時期もありましたね。やっぱり、ずっとお仕事が忙しかったのもあるのかな」
結婚願望は少なからずあったものの、ドラマに映画、さらには舞台と、仕事が2~3年先まで決まっているのが当たり前だった。
「長丁場の撮影で周囲に迷惑をかけてはいけないプレッシャーは常にありました。コンディションを維持するのも大変ですし」
恋愛はしていたものの、主演ドラマの代打はいない、というポリシーが優先されてきたと振り返る。
「仕事か恋かといわれたら、1人の彼氏のために現場に迷惑はかけたくない、という考えだったんです。デートをしていても、次の日の撮影が朝早いと落ち着かないし。結局、恋が面倒くさくなっていったのかも(笑)」
