ポール・ポッツ来日インタビュー

image英国、ブリストル出身のオペラ歌手、ポール・ポッツ(38)が、ただ今、好評発売中の最新アルバム『PASSIONE/パッシオーネ~燃ゆる想い』のプロモーションのため、最愛の奥様ジュリー・アン夫人と一緒に来日しました。もしかしたら、ご夫婦でインタビューに応えてくれるかしら~?なんて期待をしてみましたが、この日はオフで、別行動とのこと。「夫婦といえども、たまにはお互いの時間が必要だからね」と奥様を思いやる、やさしい心の持ち主のポールでした。

「丸ビルで歌わせていただいたとき、ファンの皆さんが押し寄せてきて、手を出されたんです。自分も皆さんに応えようと一生懸命タッチしました。妻はそれを見てビックリしてました。あれってほかの国ではない反応なんですよ」
携帯電話ショップのセールスマンだったポールが、英オーディション番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』に出場し、優勝。一夜にして、世界がうらやむヒーローになった。世界中、どこへ行ってもサイン攻めに遭う毎日。でもあまり“ヒーロー”になった実感はないと笑う。
「すごく現実離れした感覚で、妻に言わせると“笑っちゃう”と。相変わらず同じ旦那なのに、スター扱いされてるのがおかしいみたいです

――プライベートがなくなったり、戸惑いも多いのでは?
「逆に夫婦の時間が昔より増えました。以前はお互い仕事をしていて、残業続きで家まで仕事を持って帰ってやっていました。2人とも疲れているから、テレビ観ながらご飯食べて寝ちゃう毎日。すれ違いが続いていたのが、今はずっと一緒で、ツアーにもついてきてくれていますから」

――今までの人生でやっぱり1番嬉しかったのは優勝したときですか?
「1番じゃないです。3つあります。1つ目は優勝したこと、2つ目は奥さんのジュリー・アンと出会ったこと。3つ目は結婚できたこと。結婚式は一度挙げているんだけど、もう1回挙げたいと。来年、もう1回ちゃんと挙げようと今ジュリー・アンが中心となって決めていて、家族や親戚をたくさん呼んでやりたいなぁ~と思っています」
これだけスケジュールが詰まってると、実際式の日取りが取れるのかが問題、と苦笑した。

――優勝したときのことを改めてお聞きしても良いですか?
「はい。2人ともまだこれが現実なのか、自分たちの身に降りかかったことなのか、わからない感じで、驚きに包まれた、そんな感じだったと思います。歌は自分にとって本当に大切なホビーみたいなものだったんですよ。全然仕事にするとは思っていなくて、仕事をして、稼いだお金で歌うものだと思っていたので、こうやって日本に来られるのも歌のおかげなんだと思うと、とっても有難いです」

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「甘いお菓子はお好きでか?」

――辛口で有名な音楽プリデューサー、サイモン・コーウェルをもオーディション番組でうならせたポールの実力。サイモンってポールさんにとってどんな存在ですか?(笑)

image「画面で観るとすごく嫌な人みたいに映っていると思うけど、実はとても正直で、嘘をつかない、ストレートに自分の思っていることを言う。ものすごくフレンドリーな人ですよ。ロンドンのソニーのビルでぶつかったことがあって、セキュリティの人とすごくきさくに話していたからサイモンだとは思わなくて(笑)」
ポールがあくまで謙虚なのは、何度も挫折しそうになった過去があるから。その度に、隣で励まし続けてくれたのが、ジュリー・アン夫人だったという。
「自分の場合、結婚して数週間で急性盲腸炎になって副腎腫瘍があることが発覚したり、交通事故で鎖骨を折ったり。着替えも全部彼女にやってもらわないといけないような状況になってしまったんです。僕は元々あんまり人に自分のことを口出しされるのは好きじゃないタイプなのに、どうしようもないから全部やってもらっていた。それに対してフラストレーションがたまってしまい、ついストレスを彼女にぶつけてしまっても、ジュリー・アンは何も文句を返さずに助けてくれた。本当に彼女は僕にとって100%の奥さんなんです。『いかなるときも一生尽くします』って結婚式のときに言ってくれた誓いの言葉を実践してくれているかなぁ~と」
英国西部の湾岸都市・ブリストルに育ったポール。10歳から教会で聖歌隊として歌い始めたのは、「歌っているときだけが唯一、自分に自信が持てたから」と。ポールはいじめられっ子だった。

「いじめられても、自殺する勇気まではなかったんですよ。でも、じゃあ学校で階段からわざと落ちて、怪我でもすればみんなからもういじめられないんじゃないかと思ったことはありました。みんなが自分を嫌わない方法はないかなと考えたことはありました。でも、そんなことはあっても、何1つ後悔はしてないです。悔やんだところで、過去があったから今があると自分は思うんで。今は、毎日毎日が初めての1日。これがもしかしたら最後の1日かもしれないって思いで暮らしています。だから過去のことを引きずるわけでもなく、先を見過ぎるわけでもなく、その日を生きたいなと心しています」
人生、1つの方向にしか動かないものじゃない、と言い切る。
「英語のことわざに『上がったものは下がってしまう』っていうことわざがあって、その逆もある。下がったものは上がるよと言いたいです。そのために自分は信じること」
ポールの波瀾万丈な半生はハリウッドでの映画化も決定したとか。

――自分の役を自分でキャスティングできるとしたら、誰に演じてもらいたい?
「奥さんはジョニー・デップにやってもらいなさいと言ってます。僕はわかんないです。いまだに自分の映画が撮られるなんて信じられないところもあるし。決まってみてどうなるか・・・見守りたいです」

――映画製作の話は、優勝直後からいろいろあったそうですね?
「でも実際に話が実現し始めたのがここ1年。パラマウント映画から申し出があったんですけど、まだ最終的なGOではないので、それが決まってからじゃないとまだ口にしたくない部分もあるので・・・」

――ところで、ジュリー・アン夫人との出会いは、ネットの出会い系サイトだったそうですね?
「自分が先に自分の写真を彼女に送ってたんですよ。でもジュリー・アンは送ってくれなかったんで、彼女のほうがちょっとアドバンテージがあったんです(笑)。だから実際に会おうとなったときに、彼女は自分の顔がわかってるから、嫌だと思ったら、帰っちゃうかもしれないってすごい心配しました。でも、それは杞憂に終わって、彼女はすごく温かみのある、思いやりがある人だなって気がして、とにかく気が合ったんです」

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――実は、今日ポール・ポッツさんにお会いするんだって知人に話したら、「あのテディベアみたいでかわいい人でしょ?」って言われました。どう思います?
「(すごく笑って)その話をここで妻が聞いたら、床に転がって笑っていたよ」

――ところでプロポーズの言葉は何だったんですか?
「普通に結婚して下さいと言いました。ケーキの中にリングがあったとか、そういうことはしてないですよ(笑)」

――ジュリー・アン夫人の反応は?
「すぐに『イエス』って。あっやっぱりこれはプライベートなことだから(笑)。さっきも言いましたけど、彼女は100%の奥さん。自分のためにどんな犠牲も払ってくれる。彼女がいなかったら今の僕はいないってきっぱりと言える。これだけは言います。絶対離婚はしない(笑)。喧嘩とかあっても、絶対離婚はしない」

――去年は40日間しか自宅に帰れなかったそうですね。超多忙でいらっしゃいますね?
「ホテル暮らしばかりで、今年もまだ10日しか家に帰っていません」

――では、そんなストレスの発散法は?
「歌うことかなぁ。お客さんの前で歌うことが、自分にとっては一種の発散法です」

――エリザベス女王の前で歌っても、あがらなかったんですか?
「それは逆ですね~。緊張しました。だって女王陛下ですよ。気に入らなければ、『あの人の首を落としなさい』って、それくらい権限のある方(笑)。陛下の前で歌えたことはとても光栄なことでした」
座右の銘は、『ジャングル・ブック』を書いたラドヤード・キップリングの『もしも』という詩。
「『もしも誰かがあなたを嫌うようなことがあっても、嫌うということに重きを置いてはいけません。もしあなたが成功と敗北を経験したなら、その両方に重きを置きなさい。どちらも理由があるから、今あなたはそこに存在しているのです』。こんな内容なのですが、これは僕の人生そのものでしょう。自分が嫌われたから、相手を嫌ってしまってはいけない。これは自分がいじめられていたことも当てはめて、人生の教訓かなと。こうされたからこうするのではなくて、光も影も両方意味があるから、そこにあるんだと」
夢はあきらめないこと、と強調するポール。
「夢をあきらめないでほしい。でも同時に現実もある。両方のバランスを取ることも大切。あまり夢を見過ぎるのではなく、ちゃんとその機会が訪れたとき、その機会を無駄にしないように掴み取ってほしい」
そんなポールにも、夢はまだまだある。
「僕の次の夢は、本格的なオペラの舞台に立つこと。自分で指定できるなら、プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』のルドルフをやりたいな」

 
【撮影:永田理恵(女性自身編集部)】

インタビューこぼれ話

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インタビュー終了後、写真を撮らせて頂いていると、ガラス窓を背に立ったポールは、「ここは背景が明るいけど大丈夫なの?バランス取るの大変でしょう?」と。
永田カメラマンが「カメラ、お好きなんですか?」と尋ねてみると、
「そのカメラ、マーク250ですね。僕はもう1つ上のマーク500を持っているよ。重いでしょう、レンズ。奥さんにはあまりカメラのこと言うと嫌がられるんだけど。250だとちょっと離れて隠し撮りができるんだよ(笑)これは後ろをぼかすためだよね」
と、プロ並みの詳しさで話てくれました。この2年間ずっと働きづくめのなか、奥さんが認めた唯一の贅沢が、プロ仕様のカメラを買ったことだったそうです。

 

 

 

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