リチャード・ギア 映画『HACHI 約束の犬』来日インタビュー

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このコーナー、2度目の登場となるリチャード・ギア。昨年L.A.で行われた映画『最後の初恋』の記者会見終了後、「来年の春、『HACHI』で日本へ行くよ!」との言葉をロミヒーに残してくれた通り、『Shall We Dance?』(04)以来5年ぶりの来日が実現。仕立ての良い細身のグレーのスーツに身を包み、囁くような甘い声と紳士的な態度でインタビューに応えてくれました。

 

ロミヒー 昨年の夏に、L.A.でお目にかかって以来2度目のご登場有難うございます。

リチャード『最後の初恋』での記者会見のときだね。世界中のジャーナリストに会っているから気がつかなくてごめんね。

ロミヒー とんでもない。この度は再びお会いすることが出来まして光栄です。

リチャード アリガトウ!

(と、ここでリチャードがルーム・サービスでオーダーしたアーモンドが、素敵なガラスの器に入って届く)

リチャード 君もどう?

ロミヒー ひとつ頂きます!アーモンドお好きですか?ビタミンEも豊富ですしね。

リチャード とってもね。体にもいい食べ物だよ。ビタミンEだけじゃなくて、プロテインも豊富だしね。

ロミヒー ところで、ご自身もビリーという名前の犬を飼われているとお聞きしました。今回の映画『HACHI 約束の犬』の中で、役作りにあたり参考にされた部分はありましたか?

リチャード 僕は子供の頃から、犬とずっと一緒に暮らして来たんだ。ビリーは4代目になるかな?まだ子犬のときに保健所からもらってきた犬で、最初はどんな犬か良く知らなかったんだ。でも、とってもスイートな犬で、いまでもずっとそうさ。まぁ言ってみたらHACHIにも似てるかな?僕の後をついて来て、パッと止まるとビリーも止まって、椅子に座れば僕の膝にちょこっと頭をのせるんだ。動物との距離間の取り方なんか参考になったかな?

ロミヒー それはかわいいですね。昔から女性の扱い方にはとってもスマートでなれていらっしゃるリチャードさんだと思いますが、動物はやはり勝手が違いましたか?HACHIを相手にしてみて起きた、撮影中のエピソードなどありますか?多くの俳優さんがよく言うのは、動物と子供と共演するのは予期せぬことが起きて非常に難しいと聞きます。いかがでしたか?

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リチャード 決してそんなことはなかったよ。驚くかもしれないけど、HACHIはとっても利口な犬だったんだ。人間の俳優だったら、何度も何度も同じことを繰り返して結局最後は疲れてしまうけど、動物は気が乗らないとスパッと演じなくなっちゃうんだ。思いがけないことも起こるチャンスもなかったほど、集中して演じていたよ。だから人間と違ってリハーサルがなく、一発勝負だった。HACHIが自然と演じられるよう、こちらも環境を整えてやって撮影したんだ。

ロミヒー たとえばどんな風に環境作りをされたんですか?

リチャード う~ん、君が言う通り予期せぬことが起きても困るし、子供も動物も思い通りに動かないことがあるからね。そのためにも彼らに心地良い環境をまず作ってやらなきゃいけないんだ。プロの俳優はちゃんと役作りをして撮影に来るわけだからその必要はないけど、動物はそういうわけにはいかないからね。例えばHACHIの周りでは、400人ちかくのスタッフがいて動き回ったりしながら働いていたわけだけど、決してだれもHACHIと目を合わせず、HACHIに触らないようなルールがあったんだ。HACHIの集中を切らさないように自然に振舞うことに心がけ、唯一HACHIと接触できたのは、HACHIのトレーナーと僕だけだったんだ。「利口な犬だね」とか「かわいいね~」なんてみんながやってたら犬は疲れちゃうし、混乱してしまうからね。僕らだけをみて演じられるようにね。

ロミヒー 犬も人間とコミュニケーションをとっているという意識があるんでしょうかね?

リチャード Yes!もちろん。人間の俳優同士もコミュニケーションをとるのが難しいのに、なおさら相手が動物となったらさらに上を行くコミュニケ―ションをとらなきゃ。もし一度犬に嫌われたら犬の関心を取り戻すことはなかなか難しいんだよ。僕の息子もおなじでさ、彼は野球でピッチャーをしていて、とても上手いんだけどやっぱり子供で、あるとき凄く悪い試合をやったんだ。試合に負けて、僕のところへやってきて「もう野球なんたやりたくない」って言うんだ。息子の目をみて思ったけれど、一度嫌だって思ったら、大人が何を言ってももう聞く耳をもたないんだよね。犬も同じで、今日は上手く演じられないって思ったら、どうしたって演じないんだよね(笑)

ロミヒー 動物と子供は難しいですね(笑)。この作品はお子さんにも是非観せたい作品だとおっしゃっていたそうですが?

リチャード はじめは、まぎれもなく子供にも魅せたいハイクオリティーな映画にするつもりで着手したのが、出来上ってみたらそれ以上に良い作品になったんだ。テスト試写をやってみたら、子供はもちろんのこと、ティーン世代も凄く感動したという結果が出てね、大人ももちろん、中には泣いてる観客もいたくらいだよ。

ロミヒー ご自身も脚本を読んだ段階で、すでに泣いていたそうですね。

リチャード ワインを飲みながら、老人のごとく泣いてしまったよ。

ロミヒー きっとその涙一粒でさえも素敵な、ラブロマンスの王子様的存在であるリチャードさんですが、世の女性を魅了し続ける秘訣はなんでしょうか?

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リチャード それは映画の中のキャラクターであって、僕とは違うんだよ。

ロミヒー でも、昨年L.A.で奥様の腰に手をまわされて、やさしくエスコートしながらホテルに入られる姿をお見かけしましたよ!

リチャード 信じてほしいんだけど、僕はただの仕事人間だと思っているよ。仕事だから映画を作り、取材だって仕事の一部だと思っている。だから特別に何かあるわけじゃないよ。以前、ボスニアで映画をとっていたとき、たしか『ハンティング・パーティ』だったかな?プレスの記者会見があって最後に、若い女性の記者がこう言ったんだ。「私はミスターギアに御礼が言いたい。私たち3世代、おばあちゃん、おかあさん、私のために映画を作って楽しませてくれました。有難う!」ってね。あれは、とっても嬉しい言葉だったけどね(笑)。

ロミヒー そう言いたくなるオーラなのか、リチャードさんにはあるんですよ。

リチャード そう、アリガトウ!

ロミヒー ところで、もうすぐ60歳のお誕生日(8月31日)ですよね?何か大きな計画はあるんですか?

リチャード NO~!50歳の時に妻が信じられないくらい盛大なパーティーを開いてくれたから、今回は小さくやろうと思っているよ。何かとストレスになるからね。秘密だけど個人的に考えてることはあるんだけど・・・親しい間だけでね。

ロミヒー どうも有難うございました。

リチャード 楽しい時間だったよ。アリガトウ。

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8月8日(土)全国感動のロードショー
(C)Hachiko,LLC
配給:松竹

【撮影:加治屋誠(女性自身編集部)】

 

 

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