VOGUEオーストラリア版の元編集者、カースティ・クレメンツが上梓した本「The Vogue Factor(ヴォーグの真実)」には、驚くべきファッション業界の実態が赤裸々に綴られている。テレビ番組「Entertainment Tonight」に出演したクレメンツは、本の内容についてこのように語った。「ニューヨークのエージェントとディナーに出かけたとき、その人はおいしいものを食べながら『モデルの中には(空腹を紛らすために)ティッシュを食べてる子がいるんだよ』なんて言うんです。そんなバカげた話、聞いたことがなかった。『どういうこと?その子たちがひもじい思いをして努力したおかげで、今あなたはお腹いっぱい食べられてるんでしょ?女の子たちは今この瞬間にも飢餓状態にあるのよ』と言ってしまいました」パリのファッションウィークのランウェイに憧れてモデルになる女性は、サンプルサイズに適合するように大幅な減量を求められる。クレメンツは「コレクションに出てくるモデルは、雑誌のモデルよりもずっと痩せてますね」と証言する。このクレメンツの”告発”に異議を唱えたのは、自身もモデルで、モデルエージェントを経営するシンシア・ベイリーだ。彼女は太りたくない一心で極端な行動に走るモデルたちを見てきたが、このことをクレメンツが公にしたことに対して不快感を隠さない。「まさかVogueのエディターがこんなことを暴露するなんてね。私たちはモデルの実態を知ってるけど、これは暗黙の了解なのよ」しかし、クレメンツはこの本を、すべてのモデルが不健康な方法でダイエットをしていることを暴露するためではなく、所属エージェント、ひいてはファッション業界からの圧力にさらされているモデルの真実を知ってもらうために書いた、と主張。「私は自分がこの問題の一部だと考えました。この業界の人は誰もが共犯者なんです」と訴えるクレメンツの言葉がファッション業界の中枢に届く日はやってくるのだろうか。