NYP Page Six
2010年2月、ファッションデザイナーのアレキサンダー・マックイーンが40歳という若さで命を絶った。自ら首を吊ったと見られているが、その理由については「プレッシャーによる不安とうつ」、「どうしようもない孤独感」「薬物の過剰摂取」などが検死官の所見から導き出されており、精神的な要因が大きいと思われてきた。しかし、ここに来て新たな可能性が浮上した。
ジャーナリストのモーリーン・キャラハンが新著「Champagne Supernovas」の中で、マックイーンは亡くなる前に自分がHIV陽性であると親しい友人に対して認めていたと明かしたのだ。本にはそのときの友人との会話が収録されているという。マックイーンは同性愛者として知られ、2000年には男性パートナーと結婚式を挙げていた。
マックイーンは凄まじい才能を持つだけではなく、人々を魅了してやまない人間性を備えていた。デビューしたてのレディー・ガガがあまりにも奇抜であったため、名だたるデザイナーが彼女への衣裳提供を拒否する中、マックイーンはその才能を認め、「どれでも好きなものを着ていいよ」とガガを受け入れたことはよく知られている。また、薬物問題でバッシングされていた友人のケイト・モスを擁護し、コレクションのフィナーレには「We Love You Kate」と書かれたTシャツを着て登場した。そんな愛すべき彼がどれほどの苦悩を抱え、死を選んだのか——凡人には計り知れないその胸の内を思うと、どうしようもないほどの喪失感に襲われる。