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女優のベッツィ・パーマーが29日に死去していたことがわかった。88歳だった。
パーマーは1926年生まれ。1950年代から女優として活躍し、テレビドラマに数多く出演した。1972年のドラマ『Love, American Style』を最後に一線を退くも、1980年公開のホラー映画『13日の金曜日』で銀幕に復帰。主人公の殺人鬼ジェイソン・ボーヒーズの母親パメラ役を演じ、世界中にその名を知られることになった。
休業していたにも関わらず、『13日の金曜日』への出演を決めた理由は「車を買いたかったから」であったという。愛用していた古いメルセデスが故障してしまい、9,999ドルのフォルクスワーゲン・シロッコを買うための金策に悩んでいた時、エージェントから「映画に出ませんか?」という声が掛かったのだとか。Cinemarr Studiosのインタビューで彼女は当時のことをこう振り返る。
「『本気? 私、1960年代から映画なんて出てないわよ』って言ったの。そうしたら彼が『拘束期間は10日間。1日につき1,000ドル出ますよ』って。『やるわ。車が欲しいのよ。そのお金があればちょうど買えるし。完璧ね』と答えたら、『ひとつ、問題があります……。ホラー映画なんです』なんて言われて参っちゃったわ」。
しかし、どうしても車の購入資金を手に入れたかったパーマーは脚本を取り寄せた。正直な感想は「クズみたいな話。誰がこんなものを見に来るっていうの」──しかし彼女はオファーを受け、車を買い、作品は人気シリーズとなった。
その後パーマーはホラー映画やテレビドラマ、短編映画を中心に再び女優活動を再開。最後の出演作は2007年の『Bell Witch: The Movie』だった。晩年はコネチカット州のホスピスセンターで介護を受けており、5月29日に老衰で死去した。