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「騎士道精神は死んでしまったのか」──英国では今そんな声が噴出している。妊娠後期の妊婦が、指定席券を購入していたにもかかわらず、列車内で立ちっぱなしでいることを余儀なくされたからだ。

 

マリー・クレア・ドーランさん(29)は先月26日夕方、バーミンガム・ニューストリート駅からマンチェスター・ピカデリー駅へ向かう列車に乗り込んだ。妊娠34週目の大きなお腹を抱えていたため、彼女は事前に指定席を購入していたという。しかし、彼女の押さえていた席には、既に男性が座っていた。

 

「その時、私はもう疲れていて、足も痛かったんです。だから正直に、その席は私が予約していることを伝えました。電子予約システムが壊れていたので、チケットも見せたんです。でも、彼はそれを一瞥すると、私の顔を見て笑い、背を向けました」

 

この男性の行動は当然ながら言語道断だが、ドーランさんは周囲の人の無関心を嘆く。

 

「誰も、何もしてくれませんでした。介入して助け船を出してくれる人も、私に席を譲ってくれる人もいなかったんです。みんな一様に目を背けて、見ないふりをしていました」

 

結局、ドーランさんは30分以上、立ったまま列車に乗り続けた。お腹は重たく、背中や足にひどい痛みを覚えていたが、席を譲ってくれるよう頼んで笑われるのはもうまっぴらだった。その後、やっと乗務員が検札に訪れると、男はドーランさんの席から立ち上がってその場を去ったという。

 

ドーランさんは、こう主張する。

 

「妊娠している女性を先に乗車させてあげたり、席を譲ったりすることは暗黙のマナーだと思います。それこそが礼儀です。でも、あの車内にいた人たちは私を邪魔にならないところに押しやって、座席を取った男性は私の顔を見て笑ったんです。よっぽと、私が素敵だったんでしょうね。これが今の移動の仕方なんでしょうか」

 

どこの国でも、妊婦や子連れ、ベビーカーは論議の的となりがちだが、この件は購入した指定席を奪われたということで男性を擁護する意見はほとんど見受けられない。

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