(写真:AP/アフロ)
米ケンタッキーフライドチキン(以下KFC)が、風変わりなキャンペーンを打ち出したのは今年8月のことだった。
「9月9日に生まれた赤ちゃんにハーランドと名付けた最初のご家庭に、大学進学資金1万1千ドル(約120万円)を差し上げます」
ハーランドとは、ケンタッキーフライドチキンの創業者、ハーランド・サンダースのファーストネーム。あのヒゲのおじさんは「カーネル・サンダース」として知られているが、「カーネル」は名前ではなくケンタッキー州に貢献した人に贈られる名誉称号「ケンタッキー・カーネル」のことだ。
「ハーランド」という名前はいわゆる“シワシワネーム”にあたり、babycenterのデータによると1905年には新生児100万人中166人に名付けられたが、2017年には17人にまで落ち込んでおり、人気ランキングでは5501位。KFCはTwitterに「ハーランドは“野ウサギの住む草地”という意味を持つ素晴らしい名前です。お年寄りの名前と思われている名が、今またクールなものになっています」と主張する動画を投稿。
ハーランド復権のために、サンダースの誕生日である1890年9月9日に生まれ、ハーランドと名付けられた赤ちゃんに大学への進学資金として1万1千ドルを進呈するというキャンペーンを開催したという次第だ。
しかし、このキャンペーンへの反応は良いとはいえず、「子どもの一生を左右する名前を企業広告の道具に使うな」「1万1千ドルなんて、大学の学費をカバーするには到底足りない」という批判や、「子どもの予定はないけど、僕がハーランドに改名するからお金くださいよ」といったふざけ半分のコメントが相次いだ。
応募者ゼロで終わるのかーーと思いきや、10月30日、KFCはキャンペーンの当選者を発表した。9月9日に生まれたハーランド・ローズちゃんが見事1万1千ドルを手に入れた。「かわいそうな子」「大きくなって由来を聞いたらどう思うんだろう」というネガティブなコメントも多いが、「なんて愛らしい子!」「かわいい!」と赤ちゃんの可愛さにみな骨抜きだ。愛称は「ハーレイ」になる見込みだという。