1999年、裁判に出廷するジョン・ウィリアム・キング(写真:ロイター/アフロ) 画像を見る

米国時間24日午後7時過ぎ、テキサス州立ハンツビル刑務所で1人の男の死刑が執行された。BBCアメリカやCNN、FOXなどの複数のメディアの報道によると、44歳でその生涯を終えたジョン・ウィリアム・キングは、史上最悪とも言われる憎悪犯罪の首謀者だった。

 

約20年前の1998年6月、キングと2人の仲間は3人の子どもの父親である黒人男性ジェイムズ・バードJr.さんを誘拐した。人気のない道路へ移動すると、ピックアップトラックの荷台に彼の足首を繋ぎ、約5キロメートルにも渡り彼を引きずって運転した。3キロメートル時点ではまだ生きていたが、その後間もなく絶命。キングらは地元の黒人墓地に彼の遺体の一部を遺棄した。体の残りの部分は墓地の2キロメートルほど手前に無残にも落ちていたという。

 

バードさんが狙われた理由はただ一つ、「黒人であるから」だった。キングは非常に不快な内容の絵柄をタトゥーとして体に刻み、自らレイシストであると公言していた。事件は憎悪犯罪として扱われ、キングは死刑を宣告された。キングは起訴された時から一貫して無罪を主張していたが、最高裁判所により最後の控訴も棄却され、死刑執行が確定した。

 

キングの処刑を見届けたバードさんの妹クララさんは、「あの男は名を上げたかったんです。ジェイムズは選ばれた標的であり、慈悲をかけられることはありませんでした」とコメント。キングは遺族を一顧だにせず、死の間際まで不遜な態度を崩すことはなかったという。その表情に後悔や反省の色は皆無だったとか。キングは薬液を注射されてから12分後に絶命した。

 

バードさんのもう1人の妹ルーボンさんは「恐ろしい罪を犯せば、凄まじいペナルティを受けなければならない、というメッセージを世界に発信できたと思う」と語り、差別や憎悪と闘うために設立されたバード財団を通じて、働きかけを続けていくと決意を新たにした。

 

共犯のローレンス・ラッセル・ブルワーは2011年に既に処刑されており、同じく共犯のショーン・アレン・ベリーは終身刑で服役している。

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