黒人キャラ使用の食品会社、“BLM運動”受け続々と方針転換
Aunt Jemima(左)とMrs. Butterworth's(右)のシロップ(写真:ロイター/アフロ)

構造的な黒人差別を撤廃しようとする動きが加速している米国で、いわゆる“ステレオタイプ”にもメスが入り始めている。

 

「ミセス・バターワース( Mrs. Butterworth’s)」は米国の大手食品加工会社コーンアグラ・ブランズが所有するパンケーキシロップやミックス粉のブランドで、ふくよかな女性をかたどったシロップボトルがトレードマーク。ニルヴァーナの楽曲のタイトルにもなっていることから、そのブランドが米国内の家庭に広く浸透していることがわかる。

 

しかし17日、コーンアグラ・ブランズはブランディングとボトルデザインの変更を発表した。

 

「ミセス・バターワースのブランドは、シロップのパッケージを含め、愛情深いおばあちゃんのイメージを喚起させることを目的としています。我々は黒人及び褐色人種のコミュニティと連帯しており、パッケージが我々の価値観と完全に矛盾する形で解釈される可能性があると考えました」

 

つまり、褐色のシロップを満たした女性型のガラスボトルが、黒人女性に見えることを危惧したのだ。当然、1961年に発売された当初はそれこそが目的であり、「優しい料理上手の黒人のおばあちゃんが作ってくれたパンケーキ」のイメージを前面に打ち出したものだったはず。これが今問題の一つとなっている“人種のステレオタイプ”、“人種的バイアス”だ。日本人も、海外のコミックでは猫背でメガネをかけた細目の小柄な人物として描かれる。このように、人種ごとにすり込まれたイメージが差別の温床となっているのは以前から指摘されていたことだが、「Black Lives Matter」運動により、その問題が浮き彫りになった形だ。

 

ミセス・バターワースに続き、クエーカーオーツカンパニーのパンケーキブランド「アーント・ジェミマ(Aunt Jemima)」、パーボイルド・ライス(蒸して乾燥させた米)で知られる食品加工会社アンクル・ベンズ(Uncle Ben’s)が、ブランディングの方針転換を発表。長い間、パッケージで微笑んでいたジェミマおばさん、ベンおじさんという黒人のキャラクターが消えることになった。

 

アンクル・ベンズは Twitterで「私たちには人種差別を終わらせる責任があります。消費者、特に黒人コミュニティの声に耳を傾けています。具体的な変更点やタイミングは未定ですが、アンクル・ベンズのブランドを進化させていきます」と声明を出した。

 

NBC NEWS によると、“ジェミマおばさん”は19世紀の民謡の中で歌われる同名の黒人女性をモチーフとしており、この民謡は奴隷制度への依存度が高かったプランテーション時代への郷愁を歌ったものだという。製造・販売元のクエーカーフーズ・ノースカンパニーの副社長兼最高マーケティング責任者のクリスティン・クロエプルはプレスリリースで「ジェミマおばさんのルーツが人種的ステレオタイプに基づいていることは認識しています。複数の取り組みを通じて人種的平等に向けて前進しながら、我々はブランドのポートフォリオを厳しく見直さなくてはなりません。我々の価値観を反映しつつ、消費者の期待に応えられるようにしていきます」とコメント。

 

131年の歴史を持つジェミマおばさんが、ついに食料品店の棚から姿を消す。

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