デモで「私たちはウイルスじゃない」と訴えるアジア系親子(写真:ロイター/アフロ) 画像を見る

新型コロナウイルスをめぐり、米国各地でアジア系住民を狙ったヘイトクライムが問題となっている。アジア系というだけで殴られたり突き飛ばされたりといった暴力事件が多発。「STOP ASIAN HATE」を掲げたデモ活動や、企業によるメッセージ発信が続いている。8日にはサンフランシスコで、76歳の中国系の女性が、39歳の白人男性に顔を殴られる事件が起こった。しかし、担架に乗せられたのは加害者の方だった。

 

CBSのサンフランシスコ支部KPIXのスポーツディレクター、デニス・オドネルは暴行事件の情報を聞き、ランニングを切り上げて現場に急行した。そこには担架に乗せられた白人男性と、木の棒を持って怒りをあらわにしているアジア系の女性がいた。デニスのTwitterに投稿された動画には、そのときの状況が収められている。

 

KPIXの報道によると、女性は中国系アメリカ人のXiao Zhen Xieさん(76)。市場近くの交差点に立っていたところ、いきなり白人男性に顔面を殴られたという。Xiaoさんは落ちていた棒を拾って反撃。広東語で「このクズ! なんで私をいじめるんだ!」「彼が私を殴ったんだよ!」と言いながら男を滅多打ちにし、救急車が呼ばれる事態に。

 

39歳の男は口から血を流しながら担架に乗せられ、手錠をかけられた。運ばれる男を再度殴りつけようとしたXiaoさんを、警官が後ろから押さえてなだめる場面もあったという。

 

容疑者は、前日に83歳のアジア系男性が殴られた事件にも関わっていることがわかり、警察はヘイトクライムとして捜査を続けている。

 

Xiaoさんの孫娘は、クラウドファンディングサービスのGoFundMeで、保険でカバーできない医療費を募るプロジェクトを開始した。Xiaoさんは両目が腫れ上がり、片方の視力が極端に落ちてしまっているだけでなく、出血も止まらないという。スタートからわずか19時間で、5万ドル(約545万円)の目標に対し、およそ2倍の47万ドル(約5,124万円)が集まっている。

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