米ミシガン州の女性が、夫の殺害を殺し屋に依頼した罪で、最高9年の懲役刑を科される見込みだとFOX系列のWJBKが報じている。
ウェンディ・リン・ウェイン(52)は2020年7月、「rentahitman.com(殺し屋派遣ドットコム)」というサイトにアクセスし、偽名を使って夫の殺害を依頼した。
白と赤を基調にデザインされた、このおしゃれなサイトには、「弊社は1920年の創業以来、一般市民の皆さん(子どもから大人まで)、政府職員、政治家など、様々な立場のお客様にご満足いただいてまいりました。HIPPA(Hitman Information Privacy & Protection Act of 1964)を100%遵守しながら、お客様のデリケートな状況をタイムリーかつ正確に解決致します」とある。
掲載されている「お客様の声」のなかにあるアリゾナ州のローラ・Sさんという人物の投稿は、「ベビーシッターと浮気した旦那を殺ってもらいました。再びシングルになれて、新しい出会いを探してます。ありがとう!」といった具合だ。
サイトに掲げられている「HIPPA」は、「殺し屋の情報保護法」と訳すことができるが、もちろんそんな法律は存在しない。
これはHealth Insurance Portability and Accountability Act of 1996(医療保険の携行性と責任に関する法律、通称HIPPA)のパロディだ。
そんな“遊び心”からもわかるように、このサイトは2005年、ボブ・イネスという人物がサイバーセキュリティのテストサイトとして制作したものだった。
しかし、逮捕・起訴されたウェインは、本物の殺し屋派遣サイトだと信じ込み、申し込みフォームに「夫が死ぬべき理由」を入力し、本気で殺害を頼んできたのだ。
依頼内容を見たイネスさんは、ミシガン州警察に相談。警官が殺し屋を装ってウェインに連絡を取り、カフェで面談すると、ウェインは「夫を殺してほしい」と明言し、5,000ドル(約57万円)の報酬を提示したという。
手付金としておとり捜査官に200ドルを支払った直後、ウェインは逮捕された。
ウェインは検察と司法取引し、殺人教唆と犯罪を助長するコンピューターの違法使用の罪で最高9年の刑を科されることになるという。
ミシガン州警察のブライアン・オレクシクは、「このようなWebサイトが存在すると考える人がいることが信じられない」というコメントをWJBKなどの取材に対して話している。
イネスさんは、rentahitman.comにはこれまでに300通を超える殺害依頼が寄せられていると、前出のWJBKの取材に対して語った。
イネスさんは、こうした“依頼”を受け取り次第すぐに警察に届け出ているため、これによって未然に防止された事件は100件ではきかないという。