米アイダホ州ボイシの公立図書館で、110年前に貸し出された本が先週になって返却されていたことがわかった。地元テレビ局KTVB7などが報じている。
1世紀以上の時を経て返却された本は、1907年に出版された児童文学作家ケイト・ダグラス・ウィギンの「少女レベッカ」シリーズの一冊『New Chronicles of Rebecca』。
1911年11月8日に、ボイシ市内の旧カーネギー公立図書館で貸し出されたのを最後に、行方がわからなくなっていた。
旧カーネギー公立図書館は1895年に立てられた歴史的建造物で、1974に歴史登録財に指定されたため、現在は本を置いていないという。
そのため、本はボイシから80キロほど離れたガーデン・バレー地区図書館の返却コーナーにひっそり置かれていたそうだ。
「かなり古い本で、現在使用しているマークがひとつも見当たらなかったため、カウンター係が調べてくれました。110年後に返却された本を扱った人なんて、ここにはいないと思います」と、ボイシ公立図書館で司書補を務めるアン・マリー・マーティンさんはKTVB7の取材に応えて語った。
当時の規則では、延長手続きをしないまま貸出期間の2週間を超えると、1日あたり2セントの罰金が課されていたとNBCは伝えている。今回の場合、4万日以上の延滞となるため、本来であれば借主は800ドル以上の罰金を払わなくてはならない計算となるという。
しかし、本のもともとの値段である1.5ドルが適正な請求額だとして、前出のマーティンさんはKTVB7に対して次のようにコメントした。
「罰金として、本の価格以上の金額を請求することはありません。『New Chronicles of Rebecca』は現在5ドルで買えますし、電子書籍でも読むことができます。図書館はこの本を歴史室に保管し、訪問者が手に取って見ることができるようにするつもりです。でも、もう貸し出しはしません」(マーティンさん)
驚くべきことに、本の状態はとても良く、文字も絵もはっきりと読み取れるという。
ちなみに日本では、秋元書房が翻訳家の大久保康雄と村岡花子監修の少女向け作品群「秋元書房ジュニア・シリーズ」から、シリーズ1作目の『少女レベッカ』が出版されている。