米マサチューセッツ州プリマスにあるインティアン・カントリークラブ。その15番ホールを眼下に望む75万ドル(約9,600万円)の新築住宅に、テンツァー夫妻は2017年に引っ越してきた。素晴らしい眺望、十分な敷地面積に惚れこみ、即決だった。しかし、思い描いていた生活を送ることはできなかった。
「当たると銃声のような音がするんです。本当に恐ろしいですよ」とアティナ・テンツァーさんは地元紙のBoston Globeに語る。
引っ越してきてから敷地内にゴルフボールが何度も打ち込まれ、窓や壁を修理し続ける日々を送っているという。敷地内で拾ったゴルフボールの数は4年間で700個近くに上るそうだ。
NBCによると、決定的な一打が放たれたのは2018年7月18日のことだったという。かなりの速さで飛んできたボールが窓を粉砕し、その時家にいた幼い娘が恐怖で号泣してしまった。この件で初めて夫妻は地元警察に相談した。
「いつも緊張していて、精神的に参ってしまっています。もう割られた窓を修理するのはずいぶん前に諦めました。代わりに分厚いプラスチックで窓を覆うことにしたんです」と、夫のエリックさんはBoston Globeに語った。
夫妻はカントリークラブに対し、ゴルフボールの“不法侵入”で訴訟を起こした。プリマス郡高等裁判所は、ボールから家を保護しなかったクラブ側に責任があると判断し、493万ドル(約6億3千万円)の支払いを命じた。クラブ側は金額が過大であるとして上訴している。