■がん患者を演じるために、1カ月半で17キロ減量
――今回アイスさんが演じたウードですが、どんどん痩せていくさまがスクリーンに映しだされていきます。1カ月半で17キロ体重を落としたそうですが、どのように落とされていったのでしょう?
アイス「まず食事の量を減らしました。1カ月半で目標の体重になるよう綿密にカロリー計算をし、食事のかわりに果物を食べ、早歩きや水泳といった有酸素運動をしました。まわりの人がおいしそうに何かを食べているのを見たときは、“幸せなんだろうな”“自分のかわりに食べてくれているんだな”と思うようにしました」
――体重が落ちるとともに体力と気力も落ちていったのだろうなとウードを見て思いました。
アイス「心身ともに、がん患者らしく見せるため、痩せることが目標でした。痩せることによって自然に話し方や歩き方も変わっていったのです。大変だったのは、普通の体重に戻すとき。胃が小さくなっていたので、少しずつ胃の大きさを戻しながら健康な状態になるのは、痩せるより大変でした」
――トーさんはバーテンダー役をするにあたり、有名なバーテンダーのもとでトレーニングされたと聞きました。どれくらい勉強されたのでしょうか。
トー「バーテンダーの技術を学んだのは2~3カ月です。今まで引き受けた役柄は、自分で経験がない職業だった場合、必ず勉強して身につけるようにしています」
――バーテンダーという職に対してどのような感想をお持ちになりましたか。
トー「役者は芸術ですよね。バーテンダーも芸術だなと思いました。これが正しい、これが間違いというのはなく、どう見えてもいいものだし、新しいものを作り出す職業なんだという感想を持ちました」
――この映画は友情を描いた作品ですが、共演してのお互いの感想をお聞かせください。
トー「アイスさんのウード役への真剣な取り組みは、同じ役者として本当に尊敬しています。そしてアイスさんの減量は、誰もができることではないと思っています」
アイス「ボスは見た感じは明るい人に見えるけれど、じつは内面に悲しみを秘めている。それをトーさんはすごく上手に演じていました。トーさんは演じるときの視野が広い。その広さを、自分も役者として持つべきだと思いました」
――撮影終了は’20年の新型コロナウィルス感染症流行の直前と聞いています。そこから本作は2年を経て、’22年2月にタイで公開されました。日本も一時期はドラマや映画などの撮影が中断された時期がありましたが、タイはどうだったのでしょうか。
トー「タイでは国からの要請ですべての撮影を中止した時期もありました」
――このコロナ禍で“おこもり時間”が増え、タイBLが日本でも人気になりました。タイドラマ、タイ映画、タイエンタメに興味を持つ日本人にメッセージをお願いします。
トー「日本の皆さんはじめまして。タイのドラマや映画に興味を持ってくださってありがとうございます。いい作品をつくっていこうと頑張っていきますので、応援お願いします。そしてこの作品はとてもよい映画なので、きっと気に入っていただけると思います。絶対に見逃してほしくないです!」
アイス「タイのエンタメ作品に興味を持っていただいてありがとうございます。末永くお付き合いいただけたらとてもうれしいです。この作品については1本の映画として感想はもちろんさまざまだと思います。ですので、日本の方の感想、フィードバックをすごく楽しみにしています。よろしくお願いします!」
『プアン/友だちと呼ばせて(原題One for the Road)』
2021年サンダンス映画祭ワールドシネマドラマティック部門クリエイティブ・ビジョン審査員特別賞受賞
監督:バズ・プーンピリヤ(『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』)
製作総指揮:ウォン・カーウァイ(『恋する惑星』『花様年華』)
出演:トー・タナポップ、アイス・ナッタラット、オークベープ・チュティモン
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8月5日(金)より、新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、渋谷シネクイントほか全国順次ロードショー