英エリザベス女王の死去に伴い、英国に2つある王室公領の1つ、ランカスター公領を自動的にチャールズ国王が相続した。米INSIDERによると、時価総額にして約1040億円に上るこの遺産の相続税を支払う義務は、国王にはないという。
ランカスター公領の興りは中世に遡る。アルビジョワ十字軍の中心人物だった第5代レスター伯シモン・ド・モンフォールの息子から没収した領地を、1265年に当時の国王ヘンリー三世が息子のエドモンド・クラウチバンクに与え、王室の私有不動産とした。
現在は安定した収入を王室にもたらすための不動産として運営されており、昨年の記録によると女王はランカスター公領から2700万ドル(約38億円)の収益を得たとされている。
英国の法律では、一定額以上の財産を相続する場合は40パーセントの税金を支払う義務が発生する。本来であれば、チャールズ三世は400億円を超える相続税を払わなければならないが、これは免除されることになる。一体なぜだろうか。
1993年にメージャー首相が、短期間に2人の君主が相次いで亡くなった場合、相続税の支払いで王室が破産する可能性を指摘。その後、君主の相続税支払いを免除するルールを設けたと、i Newsで調査報道を担当するディーン・カービー記者が解説している。
このルールは、2002年にエリザベス女王の母、“クイーン・マザー”ことエリザベス王太后のインペリアル・イースター・エッグのコレクションを含む約8000万ドル(約113億円)相当の遺産を女王が受け継いだ際に初めて適用されている。
もう一つの王室公領であるコーンウォール公領は、チャールズ国王からプリンス・オブ・ウェールズの称号を継承したウィリアム皇太子へと引き継がれている。