10月6日の昼過ぎにタイ北東部にある保育施設で起こった銃乱射事件。銃とナイフで武装した元警察官の男は、子ども24人を含む36人を殺害し、その後自ら命を絶った。New York Timesによると、今回の犯行はタイ史上最悪の単独犯による大量殺戮事件となり、米国でこれまでに最も死者の多かった学校銃乱射事件よりも犠牲者が多かったという。
犯人のパンヤ・カムラブ(34)は今年1月に覚醒剤の使用で停職処分を受けていて、6月には警察を解雇されていたと、タイ国家警察は公表している。
事件発生当時、近くで働いていた目撃者がロイター通信の取材に対して現場の状況を語った。
「犯人は昼頃にやってきて、まず保育所の職員4、5人を襲ったんです。最初はみんな花火の音だと思いました。その後、男は子どもたちが昼寝している鍵のかかった部屋に無理矢理押し入ったんです」
亡くなった職員の一人は妊娠8カ月の妊婦だったという。
現地の警察署長は、「現場検証の結果、カムラブは主にナイフを使って小さな子どもを何人も襲ったことがわかりました。(保育所を出てから)家に帰るまで、道中で会った人を銃やナイフで負傷させながら逃亡しました。我々はカムラブの家を包囲し、中で自殺した容疑者を発見しました」と記者会見で述べた。
自宅には妻と息子の遺体もあり、カムラブは2人を殺害した後に自殺したと見られている。
BBCによると、タイは比較的国民の銃の保有率が高い国だが、近年までこうした乱射事件は稀だという。しかし、2020年にショッピングモールで29人が犠牲となる事件が起こっている。市民の不安は尽きない。