22日、河野太郎デジタル相が一般ドライバーが乗客を運ぶ「ライドシェア」の解禁に向けた議論に着手する方針を表明した。
運転手の高齢化に加え、外国人観光客が戻ってきた今、日本では全国的にタクシー不足。安全性に疑問の声は上がっているものの、神奈川県をはじめ積極的な自治体も多く、解禁の流れが一気に加速しそうだ。
遅まきながら日本でライドシェアの議論が進み出した一方、アメリカでは“その先”のタクシーがすでに解禁されている。それが、運転席に誰も乗っていない無人のロボットタクシー。8月10日、米カリフォルニア州当局がサンフランシスコ市内での24時間営業を認めたのだ。
サンフランシスコで利用できる無人タクシーは、GM傘下のクルーズとグーグル傘下のウェイモ。どちらもすべてスマホで操作を行う。ライドシェアと違ってドライバーとのトラブルや飲酒運転の懸念はなく、安心して利用できるように思えるがーーー。
米『Forbes』誌によると、「8月14日深夜にサウス・オブ・マーケット地区の事故現場に急行した救急隊員らは、車にはねられ大量に出血している人を発見した。サンフランシスコ消防局(SFFD)の記録によると、2台のクルーズのロボタクシーが救急車の走行を妨害し、医療処置が遅れたという。患者は近くの病院に運ばれてから20~30分後に死亡した」と緊急車両を妨害する事件が発生した模様。
また、「(クルーズ社が)『当社の車両の1台が青信号で交差点に進入し、現場に向かう途中とみられる緊急車両に衝突された』とX(旧ツイッター)に投稿した。事故はテンダーロイン地区で現地時間午後10時過ぎに発生したという。同社は『車両には乗客1人が乗っており、現場で手当を受け救急車で搬送された。重傷ではないとみられる』としている」と緊急車両との接触事故があったことを『Bloomberg』が報じた。さらに、Xには無人タクシーが引き起こした渋滞を嘆く投稿が多数アップされている。
これらの事態を受け、クルーズ社は運行台数を半減することに同意したとのこと。さらに問題は安全性だけではない。解禁翌日の地元紙『The San Francisco Standard』には無人タクシー内で性行為を楽しむカップルへのインタビュー記事まで出る始末。
「どんな人が運転しているかわからないライドシェアは怖い」という声は多いが、無人タクシーだからと言って安心できるわけではなさそうだ。