米イリノイ州ネイパービル市で、高校在学中に同級生のAirPodsを盗んだと告発されるも、後に潔白が証明された女性が、市と警官を相手取り2000万ドル(約3億円)の市民権差別訴訟を起こした。NBC NEWSなどが報じている。
アマラ・ハリスさん(21)は高校3年生だった2019年、自分のAirPodsがなくなっていることに気が付いた。授業前に友人と集まっていたスペースを探したところ、1組のAirPodsが見つかり、自分のものだと思い持ち帰ったという。しかし、シリアル番号が自分のAirPodsと違っていることがわかり、教員に届け出たそうだ。
それから2週間後、当局はハリスさんにAirPodsを盗んだ罪で100ドルの条例違反切符を払うよう命令。彼女は支払いを拒否し、そこから4年以上に及ぶ法廷闘争に発展してしまう。
「告訴された状態での学校生活は本当に辛かったです。腹が立ったし、悲しかった。自分が標的にされていると感じました」と、NBC NEWSの取材に対して振り返ったハリスさん。裁判が始まる前に50回以上審問に呼び出され、高校卒業後に進学したアトランタのスペルマン・カレッジからも頻繁に地元に帰らなければならなかったという。
昨年、裁判はようやく結審。陪審員はハリスさんに「窃盗を禁じる条例」の違反はなかったと結論づけ、彼女の潔白がついに証明された。
PROPUBLICAが2022年に発表した調査結果によると、イリノイ州では白人学生よりも黒人学生が違反切符を切られる回数が多いという。ハリスさんは、疑いをかけられた要因の一つに人種的偏見があると考えている。
ハリスさんは違反切符を切った警官とその上司、そしてネイパービル市に対し、精神的苦痛に対する損害賠償を求めている。
また、ハリスさんは先月スペルマン・カレッジを卒業し、国際関係論の学位を取得。地元政治家らと協力し、イリノイ州全体における教育に関する政策を変えていきたいという夢も抱いているという。