「大韓民国の陸軍兵士として、一生懸命、服務してきます。待っていてください!」
1月14日、髪を短く刈り上げたコン・ユ(28)は、そう挨拶して入隊した。忠清南道・論山陸軍訓練所前には横断幕を広げるファンやマスコミが駆けつけていた。寒空の下、コン・ユがクンジョル(膝をついて、額を床につける韓国式のお辞儀)をする光景はファンの涙を誘った。「韓国では成人男子に兵役義務があり、30歳までに入隊しなければいけません。入隊前の俳優の見送りは、伝統的なセレモニー。
ソン・スンホン(31)入隊のころから日本のマスコミも取材に来て、注目されるようになりましたね」そう語るのは、自身も兵役を経験した韓流コメンテーターのソン・ユジュン氏。今回の韓ナビでは、男性韓流STARなら必ず直面する「兵役」最新事情をチェック。
・芸能人も特例なし
「原則的に芸能人と一般人との間に区別はなく、優遇措置もありません。特別に、五輪3位入賞者、およびアジア大会優勝者は兔除されます」と韓国兵務庁は、本誌の取材に答えてくれた。配属期間は、陸・海・空軍・海兵隊と、配属先によって違うが、おおよそ2年間。配属先は、入隊時の検査で決まる。病気やケガによっては、市役所などで働く公益勤務要員への道や免除もありうる。
・軍隊で俳優活動も
芸能人の場合、軍のPRや新人教育ビデオに俳優として出演する部隊への配属もある。それが“芸能人兵士制度”だ。「すべての芸能人に適用されるのではなく、軍人の士気向上のために、喜んで国防の義務を果たそうとする芸能人を対象に、国防省基準によって選抜します。兵役忌避者は対象外です」(韓国兵務庁)
・入隊時期は20代後半
ここ1~2年以内に、人気俳優が続々と入隊予定だ。「『神話』のエリック(29)とキム・ドンワン(28)も入隊間近。昨年末に『神話』として、日本でのラストコンサートを行ったばかり。ソロ活動が増えたのは、兵役を考慮しているから」(前出・ソン氏)そのほか、キム・レウォン(26)、チョ・インソン(26)、イ・ドンゴン(27)、キム・ジェウォン(27)、ヤン・ドングン(28)、チョ・ヒョンジェ(27)、チョ・ハンソン(26)らが近年に入隊の見込みだという。カン・ドンウォン(27)も「‘09年半ばくらいに入隊するつもり」と韓国紙の取材で語っていたとおり、芸能人は入隊年齢の上限である30歳前での入隊が最も多い。「入隊時期の判断は難しいですね。所属事務所としては、せっかく育てたのに、2年間ものブランクを空けるのは痛手。ギリギリまで活動させたいですよ」(前出・ソン氏)例外もある。『夏の香り』のカン・ジファン(30)は、除隊後に芸能界デビュー。『春のワルツ』のソ・ドヨン(26)も‘02年に兵役を終えた。「若いうちにブレイクしない俳優は、早めに入隊することもあります。下積みの長かったクォン・サンウ(31)も、20代前半に入隊した遅咲き組ですね」(前出のソン氏)
・兵役中は“契約解除”に
入隊前から海外への渡航は制限され、兵役中は原則として芸能活動は禁止される。「シビアな話ですが、収入ゼロの俳優が所属していても、事務所にはメリットがない。ウォンビン(30)のように、入隊数カ月前に契約期間が満了になるケースが多いですね。兵役中のマネジメントは、親族や知人が一時的に行うこともあります」(前出のソン氏)事務所側と俳優は、入隊前に出演する作品の本数や、ファン集会などについて、詳細な契約を交わしているという。
・復帰作がカギ
「それまでの実績の後押しが期待できる、入隊前の最後の作品よりも復帰作が重要です。今後の印象を決定づける大事なポイントです。除隊半年前から、事務所と再び契約を交わし、作品の選定に入ります」(前出のソン氏)一時期、兵役逃れでイメージダウンになったチャン・ヒョク(31)は典型的な成功例。除隊後、出演したドラマ『ありがとうございます』は視聴率30%を獲得。好印象でマイナスイメージを払拭させた。無念の除隊で一時期、批判されたウォンビンも、挽回のチャンスが巡ってきたという。「ウォンビンは映画のリメーク作での復帰が決まったそうですよ」(前出・ソン氏)兵役逃れのケースは後をたたないと言うのは韓国紙記者。「最近でも、瞬間的に高血圧にさせる呼吸法で、不正に検査不合格になった事例が発覚しています」
韓国兵務庁は兵役逃れの実情を本誌にこう説明する。「特定病院の診断書で、多くの免除が発生しているため、検察に捜査依頼をしました。今後も徴兵検査の結果のデータベース化をさらに強化します。少しでも疑わしい点が発見される場合は、徹底的に不法免除者を見つけ出すことにしています」兵役逃れが発覚した場合、刑事処罰を終えた後、再度、検査を受けて兵役を果たさなければいけないという。ただし、前出・ソン氏によれば、先月、就任した李明博新大統領の政権下で、『芸能人優遇措置』が打ち出される可能性もあるという。「李大統領は芸能人も貴重な国家財産と考えている方。五輪メダリスト同様、新たに特例ができるかもしれません」入隊候補のSTARたちは、やきもきしているかも!?