今年の韓流ドラマで断トツの人気となった『製パン王キム・タック』。本誌は最終回の収録現場に独占潜入!主役2人が語ったドラマの魅力&メモリアル秘話——

今月16日の最終話で、視聴率49・3%(AGBニルソンメディアリサーチ調べ、TNmsでは50・8%!)、という大記録を叩き出した今年の大ヒット・ドラマ『製パン王キム・タック』(KBS)。
主人公キム・タックを演じるのはユン・シユン(24)。『明日に向かってハイキック』(’09年MBC)でデビューし、日本公式ファンクラブ(http://www.so-net.ne.jp/yoonsiyoon/)もあるが、まだまだニューフェース。
ライバルのク・マジュン役も、今作がドラマデビューというチュウォン(22)。
そんなフレッシュな2人が、ライバルのパン職人という役に挑戦。パン作りで後継者争いをするというストーリー(あらすじは下コラム参照)。
韓国では巷のベーカリーショップでも、ドラマにちなんだパンが売り切れ続出するほど、社会現象も起こしている。
本誌はクランク・アップ直前の撮影現場へ急行——今週の「韓ナビ!」では『製パン王キム・タック』の主役のユン・シユン&チュウォンに直撃インタビューしました!
雨のなか、ソウルから南へ車を走らせること1時間30分。平澤市内の室内セット場に到着すると、最終回に放送予定のシーンの収録中だった。
終盤に入り、緊張もクライマックス。関係者は物音一つにも敏感なピリピリムードだ。
本誌記者も生唾を飲み込む音にも気を配り、待つこと数時間。ようやく取材タイムに。
まずは主役のシユンに素朴なギモンから直撃! キム・タックという名前は木村拓哉にちなんで名づけられたの?
「木村拓哉さんのことはよく存じ上げていますが、関係ありません(笑)。苦しいときもピンポンのようにポンポンと打ち返す。“卓越”したものを“求”めていくという意味で、漢字で書くと『卓求』なんですよ」
と疲れも見せず、爽やかな笑顔のシユン。
タックという役と素の自分が、重なる点もあるという。
「人によっては単純に映るかもしれませんが、タックのプラス思考な性格が似ていると思います。僕自身、悪いほうに考えることができなくて。反対に、どんなことが起こっても、心が揺れない強い芯を僕も持ちたいですね」
タックの性格を代表的に表しているのはこんなシーン。
「別れて暮らしていた実父に初めて会うシーンがいちばんタックらしいと思います」
タックは父親を知らずに育った。母とひっそりと暮らしていた彼は、父には複雑な感情を抱いていた。
「毅然とした態度であるべきだというプライドと、父を慕う心の葛藤が渦巻くなか、父に90度に頭を下げて挨拶をするんです。タックの心情を推し量ってください」
と力説するシユンの眼差しには、演技への情熱を感じる。
役作りのために実際にパン作りのレッスンを受けた。ロケでも“製パン王”として、おいしいパンを作る秘訣をマスターしたようだ。
「同じレシピで作っても、人によって仕上がりに差があります。それは、自分がパンを作れることにどれだけ幸せを感じているかどうかで違うんです。つまり、パン作りの“喜び”こそが隠し味なんです」
ロケは徹夜の連続の突貫工事。この日も、朝方に当日分の台本が手渡されていた。ロケが始まるまでの短い時間、出演者たちは食い入るように台本に集中していた。当然、思い入れも強い。
「タックの目が悪くなるシーンが印象に残っています。そのとき、改めて母親や恋人の愛を感じるんです。
徹夜明けの撮影だったので、目を閉じているとそのまま本当に眠ってしまって。『カット!』と言う監督のかけ声で目が覚めました(笑)

大ヒットは予想どおり?
「正直、予想もしていませんでした。テーマはパン作りですが、その裏には成功へ向けて努力を重ねるタックたちの希望や愛がある。見ているだけで勇気や力が湧いてくるので、共感を得たと思います。
僕の今はタックそのもの。とても幸せな気分ですね」
ライバル役ながら、チュウォンとは大の仲よしだ。
「礼儀正しいチュウォンにはいつも感心させられます。
体力の限界を通り越していても、決して投げやりな姿を見せない強い精神力も持っている。彼の演技への情熱には頭が下がる思いです。いい刺激を受けていますよ」

「希望を持ち続ければ未来は開ける!」

そんな絶賛を浴びるチュウォンにも直撃取材!
「シユンさんとは郷里が同じということがわかって意気投合しました。1歳上なのでタックヒョン(兄貴)と役の名前で呼んでいるんですよ」
チュウォン演じるク・マジュンもタック同様、出生の秘密が隠されている。そんな難しい役どころを好演した。
「実の父を“おじさん”としか呼べないし、母親を傷つけては自分も心を痛めている。マジュンは屈折した心の持ち主なんです。
もっとうまく演技ができたんじゃないのか、って毎日が心残りの連続でした」
新人ながらも演技に妥協を許さないその姿勢は、すでにSTAR級だ。
思い出のシーンは?
「タックの師匠パルボン先生が、険悪な僕たちの仲を取り持つために、お互いの手を紐で結んで3日間一緒に過ごすシーンです。不自由で大変でしたけど、今では、楽しかったいい思い出になっています」
こんなお茶目な一面も——。
「ロケでは『ボンパン』というマッコリ入りのパンも作りました。実は、僕は匂いを嗅いだだけで酔っ払うほどお酒に弱いんです。撮影中は本当に頭が痛くて辛かった(笑)。でも、焼きあがった『ボンパン』は本当においしかったですよ」
最後に2人から、本誌読者へメッセージをもらった。
「このドラマはどんな環境や境遇に置かれても希望を持ち続けることで未来が開けていくという物語です。
希望や愛、未来というテーマはボーダーレス。日本の皆様にもきっと伝わると信じています。お目にかかる日を楽しみにしています。応援してください!」(シユン)
「僕にとって多くのものを与えてくれました。皆さん期待してください」(チュウォン)
2人の夢もパンのように膨らむこと間違いなし!

『製パン王キム・タック』あらすじ

時は’60年代。主人公キム・タックは、コソン食品の会長ク・イルジュンと家政婦との間に生まれた。
母の元で暮らしていたタックはある日、会長の長男として迎え入れられることに。しかし、会長夫人などからの冷遇や差別が待ち受けていた。会長の二男ク・マジュンもタックを快く思っていない者の一人で宿命のライバル。
時は流れ、会長はコソン食品の後継者として優れたパン職人のほうを指名することに決めた。ライバルの2人は製パンを土俵にして戦うことに。
タックはパルボン先生のもとで、パン作りの数々の奥義を学び、成長していく。
2人はシン・ユギョン(ユジン)を奪い合う恋敵でもあった。またパルボン先生の孫娘で、製パンの神童と呼ばれるヤン・ミスン(イ・ヨンア)も、ユギョンとともにドラマに花を添える。
韓国の高度成長の時代、ひたむきに生きるタックの姿が描かれている。

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