かつて日本から大量のファンが押し寄せた『冬のソナタ』ロケ地。放送から10年、はたして今、どうなっているのか?現在も続く『冬ソナ』ロケ地ツアーに参加してみた。今回のツアーは、おもにドラマの1〜3話の舞台となった、南怡島(ナミソム)と春川(チュンチョン)を巡るもの。ジュンサンとユジンらの高校時代の思い出の土地だ。いっしょに参加したのは、40代の夫婦と50代の夫婦の2組。
最初のロケ地・南怡島は北漢江に浮かぶ周囲5キロの島で、ジュンサンとユジンが初デートで歩いた並木道、ファーストキスをしたベンチなど、物語序盤の重要なスポットがそろっている。ドラマでは閑散とした場所だったが、ロケ地として注目を浴びて以降、土産物店や飲食店、宿泊施設が増えていき、いまや島全体が『ナミナラ共和国』という観光地になったそうだ。
「5年ほど前までは観光客の8割が日本人でしたが、今は2割くらいでしょうか。それに代わって、中国や東南アジアからの観光客が急増しています」(渡し船のスタッフ)
ここのポイントはドラマ最大の名場面ともいえる、2人のファーストキスが撮影されたベンチ。もともとベンチは1つだったが、観光客がふえたため、2つに増設されたという。テーブルには、2人がドラマの中でも作った『雪だるま』のレプリカ(石こう製)が置かれていたが、残念なことに落書きまみれになっていた……。
そして、2人が戯れ、初デートで歩き、大人になり記憶を確かめながら歩いた『冬ソナ』のシンボル、メタセコイアの並木道へ。入口には、ジュンサンとユジンの特大写真が飾られている。さらに、並木道の右手には見つめ合うジュンサンとユジンの像、左手には劇中で2人が乗った自転車が飾られていた。
次に向かったのは春川にある商店街。立ち並ぶ店の中に、ユジンの母親が働いていた衣料品店がある。さらに近くには、酔っぱらいに絡まれたユジンをジュンサンが助けた路地が。続いて、ユジンを助ける直前にジュンサンが食事をしていたお店へ。店先に揚げパンが並んでいるのはドラマさながら。店構えもほぼ当時のままだ。「今日も、午前中に日本人の団体客が見学していったよ」と店のお母さん。コアなファンはまだ多いようだ。
商店街をあとにして、春川での最大の見どころ、ジュンサンが高校時代を過ごした家へ。じつはこちら、一般の方が実際に暮らしているお宅で、ドラマ収録時も、お借りして撮影したとのこと。家の中でまず目に飛び込んできたのはジュンサンが弾いていたピアノだった。現在、ジュンサンの家の周辺は高層マンションの建設ラッシュで、この古い家だけが取り残されたようになっていた。
その後、1話の冒頭でユジンが駆け下りてきた路地や2人が通った高校を見学。最後にジュンサンとユジンがバスから降り、初めて言葉を交わした場所へ。当時とはずいぶん景色が変わり、川沿いの白い柵も新しいものに替えられている。観光客のために設置したベンチのまわりだけが、かろうじて撮影のときと同じ状態を保っていた。
熱が薄れたとはいえ、10年たった今もロケ地を訪れる人がいる『冬ソナ』は、韓流の中でも、特別な存在であり続けているようだ。