年収格差800万円、韓国ではハイスぺ人材でも一寸先はワープア
画像を見る 韓国の青年向け就職支援制度

 

■ハイスペ人材が飽和する就活戦線

 

――厳しい就活戦線のなか、韓国の学生はどのような対策で乗り切っているのでしょうか。

 

「日本の新卒採用は世界的にもめずらしい教育志向ですが、韓国は即戦力重視の採用。学生も勝ち抜くべく多くのスキルを身につけています。

 

韓国の学生の多くは、幼少期から勉強漬けの日々を経て、やっとの思いで大学に入学。入学後も息つく暇はなく、日本の学生の比じゃない量の勉学に励み、多数の資格を取得して就活に備えます。

 

学位は二つ取り、TOEICは900点、それにくわえてMOS(Microsoft Office Specialist)資格といった情報処理系の資格も複数取得、といったスペックはザラなんです」

 

――パイは少なく、ライバルも手強い。そんななか、希望の大企業に受からなかった場合、待遇にどれほどの差がでるのでしょうか。

 

「大手だと30代で1,000万円くらいの年収にもなるのですが、それ以外の企業だと200~300万円ほど。賃金格差が日本以上にひどいのが実情です。

 

一次労働市場と二次労働市場という、日本でいうところの正規・非正規雇用の格差も存在しています。産業構造の硬直化のせいで、こちらも日本以上に二次から脱し一次へ移ることが困難ですね」

 

――そういった背景も、若者たちの大手志向に拍車をかけていそうですね。

 

■大企業40代定年説とワーキングプア

 

「若者たち自身の問題も韓国国内では指摘されています。高いプライドを捨てきれない点です。

 

大学まで出たのに、とブルーカラーの仕事などは嫌がりますね。といっても働かないわけにもいかず、どうにか得た仕事が月13万円とか、いわゆるワープア状態に陥った大卒貧困者は多いです」

 

――大企業に入れば実際に将来は安泰なんでしょうか。

 

「大手にも大手のデメリットがあるんです。長時間労働で駒の様に扱われることもありますし、大企業40代定年説なんてものもあります。一定の年齢までに役職付きの出世コースに乗れなければ、退職に向かわされてしまうんですが、もともと歯車として働かされているのでスキルが空洞化し、転職の道も厳しくなりがち」

 

こうした状況から一部の若者の間では、仕事の持続性ややりがい、またスキルアップを重視した働き方を望む人たちも現れているとのことです。といってもプライドの存在はやはり大きく、仕事の選り好みの傾向も。

 

日本の比でない、企業規模次第の賃金・待遇格差によって、“学力エリート”な若者たちの受難の日々は続いていくのでしょう。

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