11月14日、15日に執り行われる「大嘗祭」。天皇陛下が皇位継承に際して行う祭祀の時期は、運気の潮目になるターニングポイントだと江原啓之さんは言います。そこで、新しい時代を前に、自らを浄化するための“自宅でできる儀式”を伝授。今こそ謙虚な気持ちを取り戻し、感謝を込めて神様をお迎えしましょう。
「今日本に住んでいるすべての人に、国籍や宗教観にかかわらず、『大嘗祭』が執り行われる2日間を大切に過ごしてほしいと思います。これは神様をお迎えする儀式であり、私たち国民のための祭祀でもあるのです」
こう話すのは、かつて東京・世田谷の北沢八幡宮で神職として奉職した江原啓之さん。
いよいよ11月14〜15日に執り行われる大嘗祭は、天皇一代につき一度きりの祭祀。来るべき日に向けて、皇居・東御苑には大嘗宮が建設され、亀卜(亀の甲を焼いて生じた亀裂を見て占う方法)で選ばれた東西の2カ所の土地で栽培された新米を準備。さらに、儀式に供えられる海の幸・山の幸が全国から献上されている。
「日本は稲作文化の国ですから、天皇陛下は毎年秋、その年の収穫に感謝し、翌年の豊穣を祈願する祭儀『新嘗祭』を行ってくださっています。そして即位後初めて迎える新嘗祭を『大嘗祭』としているのです。数十年に一度しか行われないだけに、『何をする儀式なの?』という人も多いかもしれないですね」
今回、江原さんにこの儀式「大嘗祭」をいかに過ごすべきかの心得をうかがった。
大嘗祭で重要な役目を果たすのが、稲作文化の象徴であるお米。自宅での儀式でも、重要な役割を果たすと江原さんは語る。
「日本で暮らすすべての人にとってお米は最高のパワーフード。大嘗祭の間は1日3食、ご飯を食べることをおすすめします。そして、大切なのが「米とぎ」。お米を炊く際の基本的なこの行為が、じつはあなたの心をとぐことにつながります。日本人は毎日お米をとぎ、悪い気を自ら浄化してきました。この2日間で、食事の機会は6回あります。家族みんなで順番に、たまった悪しき想念や業をこすり出すようにといで、お米についたぬかとともに洗い出してしまいましょう」
いわば米とぎは禊の儀式。丁寧にとぎ、心身を浄化しよう。「米とぎの心得」と「正しい米のとぎ方&コツ」は次のとおり。
■「米とぎ」の心得3
(1)“自然への感謝”を込めてとぐ。
(2)優しく“心のアク”を流し出すようにとぐ。
(3)“とぎ汁にも感謝”して、心を込めて流す。
■正しい米のとぎ方&コツ
(1)きっちり計量した米をお釜に入れ、水を一気に入れて2回くらい混ぜてすぐに捨てる。
(2)手を軽く握り、軽くシャカシャカと10回ぐらい混ぜ、水を注ぎ入れて2回軽く混ぜ、とぎ汁を捨てる。これをもう一度繰り返す。
(3)釜に入れ、目盛りまで水を注ぐ。
※優しく、手早く、1分から1分半ぐらいでとぎ終わるようにするとよい。浸水時間は夏30分、冬は1時間ぐらい。
米をとぐことで自分の中にたまっていた悪い想念をすっかり出しきれたら、その際に出る「とぎ汁」は捨ててしまわないこと。いわば、自分の悪しき部分と向き合い、役立てることが、新たな自分に生まれ変わるための第一歩なのだと江原さんは言う。
とぎ汁の再利用法は、根菜類の下ゆで、豚肉や鶏肉のアク取りなど、いろいろある。次のレシピを参考に「浄霊おかず」としてよみがえらせてみよう。
■心を浄化する「ふろふき大根」の田楽
【材料】2人分
大根…1/3本(4切れ分12cm程度)
A(塩小さじ…1/2、だし昆布…5cm)
B(味噌…50g、砂糖40g、酒大さじ2、みりん大さじ1)
いりごま…少々
とぎ汁…適量
【作り方】
(1)大根を3cmぐらいの輪切りにして、十字に隠し包丁を入れる。
(2)大根がかぶるくらいにとぎ汁とAを入れ、煮立ったらアクを取り、やわらかくなるまで40〜50分コトコト煮る。
(3)Bの材料を耐熱容器に入れて混ぜ、電子レンジで約2分30秒加熱して混ぜる。
(4)大根の上に(3)の味噌をかけ、いりごまを散らす。
〈意味〉雅子さまがご成婚時に、得意料理として挙げた「ふろふき大根」。腸内の浄化作用のある大根を食べて、体も心もきれいに。
■「身欠きにしんとごぼう」の甘露煮
【材料】2人分
身欠きにしん(ソフトタイプ)…2本
ごぼう…50g(10cm程度)
A(水…1カップ、酒…大さじ3、みりん…大さじ1、砂糖…大さじ2、醤油…大さじ2)
針しょうが…適宜
とぎ汁…適量
【作り方】
(1)とぎ汁に身欠きにしんを入れ、2〜3分ゆでて冷まし、頭、背びれ、うろこ、腹骨を取り、4等分に切る。
(2)ごぼうは棒状に切り、とぎ汁で3分ゆでる。
(3)Aと(1)(2)を鍋に入れ、煮立ったら火を弱めて煮汁がなくなるまで15分くらい煮含める。
(4)器に盛りつけ、好みで針しょうがを散らす。
〈意味〉ニシンの語源は「二親」ともいわれ、子孫繁栄の意味を持つ縁起食材。地中にしっかり根を張るごぼうも縁起がいいとされている。
「とぎ汁をリサイクルできれば、悪しき想念もまったくの無駄ではなかったということ。人は誰しもがそれぞれ罪を背負って生きています。それを糧にすることで自らのステージをひとつ上げることができるのです」(江原さん)