《一番必要なことは、国民と共にある皇室、国民の中に入っていく皇室であることだと考えます》
天皇陛下は’85年、25歳のときに英国留学を終えられての記者会見で、こうおっしゃっていた。
「その強い思いは、即位された現在でも変わっていません。常に国民に寄り添われた上皇ご夫妻の“平成流”を受け継ぎ、さらに国民の中へ入っていく“令和の新スタイル”を、陛下と雅子さまは目指していらっしゃるのでしょう。それは、即位パレードの直前のご公務にもすでにあらわれていました」(宮内庁関係者)
11月5日、文化勲章受章者と文化功労者を皇居・宮殿「連翠」に招く恒例の茶会が催された。本誌は、この茶会に出席した2人に話を聞いた。
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構長の柳沢正史さんは、睡眠や覚醒を制御する神経伝達物質を発見した功績で文化功労者に選ばれた。
「私は天皇陛下と同じ年齢なのですが、今回の招待者の中では最年少でした。時代が令和になり、新しい世代の新しい皇室を実感いたしました」
茶会は招待客が座る円卓に宮内庁職員、眞子さまと佳子さま、秋篠宮ご夫妻、両陛下の順にやってこられて歓談するスタイルで、柳沢さんと同じ円卓には漫画家の萩尾望都さんもいた。
「眞子さまには『眠れていますか?』とお話しすると『眠れないときもあります』と、ほほ笑まれてお答えくださいました。眞子さまは中学高校のときに萩尾さんの作品を愛読されていたそうで、5つか6つ作品名を挙げて話されていました。私自身は両陛下と、日本人の睡眠時間が少ないことなどをお話ししました。とても楽しい時間でした。雅子さまはずっと笑顔で顔色もよろしくて、長期のご療養で大変おつらい時期があったことも感じさせないほどでした」
文化勲章を受章した写真家の田沼武能さんも明るい声で話してくれた。田沼さんは、雅子さまの妹・池田礼子さんとも会ったことがあるといい、
「雅子さまに『妹さんとユニセフでご一緒させていただいたことがあります』とお話ししましたら、『そうでしたね』とお答えくださいました。光栄なことに、かつて私と園遊会でお話ししたことも覚えていてくださいました。そのときに比べても、とてもご健康そうなご表情でした。『ご公務がお忙しいですね』と申しましたら、『いえいえ』と笑顔をお見せになってお答えくださいました」
そして、両陛下は26人の出席者一人ひとりのことをとても勉強されていたという。
「陛下は私の著書『難民キャンプの子どもたち』(岩波書店)を話題にしてくださり、また雅子さまにも『世界の子どもたちを撮っているんですね。大変ですね』と、私のライフワークにも関心をお示しになってくださいました」
そして田沼さんも柳沢さんも、「堅苦しくなくお話しできました」と口をそろえる。宮内庁関係者が言う。
「上皇ご夫妻の場合は、優しい雰囲気ながらも威厳が醸し出されていて、どこかかしこまった感じがありました。両陛下の場合は、お二人がお互いのお気持ちをフォローし合われるように、連携して会話をお進めになるので、周囲にはとても和らいだ空気が漂うのです。ゲストのみなさんは敬意を持ってお話しされているのですが、会場全体がアットホームな雰囲気に包まれていました」
実はこの茶会では、両陛下の到着が遅れ、開始時刻が10分ほど遅れるというハプニングがあった。
「雅子さまの体調を考慮されて、あまり焦られないようにと陛下がお気遣いされたのかもしれません。結果的に、ご予定より30分以上も延長されて歓談されました。そうした両陛下のおもてなしによって、むしろ出席者のみなさんは喜んでいらっしゃったようです」(前出・宮内庁関係者)
見え始めた両陛下の新しいスタイルについて、精神科医で立教大学教授の香山リカさんはこう語る。
「雅子さまはご公務やお出かけ先でも積極的にお話しされています。雅子さまのご体調がとてもよろしい証拠ですし、国民との距離が近くなっていくことを、何よりうれしく思われているはずです。そして雅子さまは、外国の王族にも要人にも国民にも同じ表情で接していらっしゃいます。そういうお触れ合いを続けられることで、国民にとっても皇室はより親しみやすい存在になるのではないでしょうか」