天皇陛下は4月6日、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議副座長を務める尾身茂氏から進講を受けられる予定だったが、延期となった。
宮内庁は尾身副座長の業務に支障がないよう予定を調整していたが、ここ数日の急速な感染拡大を鑑みて、ご進講は見送られることになった。
拡大を続けるコロナ禍の影響で、「全国植樹祭」や「園遊会」をはじめ、4~5月に予定されていた皇室行事は相次いで中止や延期が決まっている。
5月に開催予定の日本赤十字社の全国大会にも、名誉総裁である雅子さまのご出席は見合わせられる見通しだ。その一方で、天皇陛下は執務を続けていらっしゃる。
「毎週火曜日と金曜日には、内閣から送られてくる法令などへの署名・捺印があります。これを実行しないと法律が施行できませんから、このご執務は欠かせません。そのため職員との接近、多くの人間が触れた書類との接触などがどうしても発生してしまいます」(皇室担当記者)
さらに陛下は3月だけでもパナマ、スーダン、タイ、キューバ各国の新任駐日大使との「信任状捧呈式」に臨まれている。また、4月にも信任状捧呈式は予定されていたが、4月9日に天皇陛下が臨まれるはずだった新任駐日大使の信任状捧呈式は、緊急事態宣言を受けて延期となった。
「式そのものは10分くらいで、以前から3メートル以上離れて話す形式です。しかし信任状を渡すときには大使が前に進み出て陛下に直接手渡します。国と国との約束事なので儀式を省略することはありません」(前出・皇室担当記者)
3月30日には、検事長ら8人の認証官任命式も行われた。31日には、宮内庁職員の人事異動者が、赤坂御所を訪問して陛下に拝謁している。時期が時期だけに儀式や面会で、陛下がマスクを着用されることもあるのだろうか?
「人に会われるときに、皇族方がマスクを着用されていたという前例は聞いたことがありません。とくに公務の場合、相手に対して失礼というか、現状でしたら相手の感染を疑っているようにも取られかねませんので、現在もご接見のときにマスクはされていないのではないでしょうか」(宮内庁関係者)
それを裏付けるように、前出の宮内庁関係者がこんなエピソードを聞かせてくれた。
「つい先日、秋篠宮さまに面会した方は、ふだんよりやや離れて座ったものの、お互いにマスクなしでの会話となったそうです。秋篠宮さまも、気にされるご様子はなかったといいます」
もし、天皇陛下や雅子さま、そして皇族方が新型コロナウイルスに感染したとしたら、日本の国民に与えるショック、ダメージは計り知れないだろう。職員からの感染を予防するために、具体的にはどのような対策をとっているのか――。
本誌は4月3日、宮内庁の報道室に質問状を送った。すると、次のような回答が届いた。
《政府の基本的対処方針や専門家会議の見解等を踏まえ、また、皇室医務主管や側近の侍医による対応により、対策を講じてきているところ。引き続き、適切な対策を講じることで、天皇陛下お始め皇室の皆様方のご健康の保持に万全を期してまいりたい》
さらに職員に対しては、以下のような注意喚起を随時、行ってきたという。
・外出後・食事前に、石けんやアルコール消毒液などによる手洗いの徹底
・咳エチケット(マスクやハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえる)の実施
・発熱等の風邪の症状が見られるときは休暇を取得し療養に専念する
・時差出勤の推奨、休みやすい環境整備
・海外渡航の自粛、海外出張計画の自粛
・換気の悪い密閉空間、多数が集まる密集場所及び間近で会話や発生をする密接場面の3つの条件が同時に重なる場を避けること
しかし、本誌が質問状に記載した天皇陛下のマスクご着用状況、職員との接触頻度といった点には回答が得られなかった。
「雅子さまは海外メディアの報道などをご覧になり、新型コロナウイルスに関する世界の現状をいち早く把握されていると思います。日本のために陛下をお守りしなければと、心中穏やかではないはずです」(前出・皇室担当記者)
現状では万全とは言い難い「宮内庁の危機管理」を、雅子さまも憂慮されているに違いない――。
「女性自身」2020年4月21日号 掲載