新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に歯止めがかからない。全世界での感染者数は4月13日時点で180万人を超え、増加の一途をたどっている。
そんな中、イギリスではエリザベス女王が5日、国民に向けてビデオメッセージを発信した。
《私たちはともにこの病気と闘っています。もし私たちが団結し、毅然とした態度を貫けば、この危機を克服できるでしょう。ですから、みなさんは安心してください》
6日時点で4万7千人以上の感染が確認されていたイギリス。不安にさいなまれる国民は、リビングのテレビで、手元のスマートフォンで、この演説を聞いた。イギリス王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんが話す。
「エリザベス女王が緊急メッセージを出したのは、在位68年でたった4回。皇太后が亡くなったとき、湾岸戦争のとき、ダイアナ元妃が亡くなったとき、そして今回です。女王は不安や絶望を感じている国民に向けて、自分の言葉で呼びかけました。4分ほどの演説でしたが、イギリス国民からは『元気になった』『心にしみる言葉だった』と、大きな反響がありました。女王のメッセージはしっかり届いたのです」
日本の皇室でも、’11年3月の東日本大震災直後、地震発生から5日後に上皇陛下のビデオメッセージが発表された。それは歴史上初めてとなる、天皇によるビデオメッセージだった。
「天皇陛下と雅子さまは、この状況下で国民のために何ができるか、さまざまな方法を模索されているそうです。その中で、国民に向けたビデオメッセージを発表されることが、有力な選択肢の一つになっているといいます」(宮内庁関係者)
天皇陛下と雅子さまも先月、愛子さまの高校卒業に際してのご感想で《この感染の広がりが早く終息に向かうことを心から願っております》と綴られていた。もし、両陛下による“肉声でのメッセージ”が実現すれば、国民を大いに勇気づけることになるはずだが――。
「実は、5月1日に両陛下そろっての記者会見が実現する可能性があったのです」
そう語るのは皇室担当記者。
「宮内記者会は以前から、天皇陛下の即位1年となる5月1日に、両陛下おそろいでの記者会見を開いていただきたいと、宮内庁に申し入れてきました。雅子さまは’02年12月以来、会見に出席されていません。雅子さまが長らく適応障害の闘病を続けられていたためです。ただ、皇后となられてからの雅子さまはご体調も安定され、ご公務や祭祀にも精力的に取り組まれています。そのため、雅子さまの肉声を国民が待望していることから、会見を要望していたのです。しかし、感染拡大の恐れもあり、記者を集めての会見はもはや実現不可能です。18年ぶりとなる雅子さまの会見は幻となってしまいました」
ただ、前出の宮内庁関係者は、ビデオメッセージ実現の可能性はむしろ高まっていると話す。
「雅子さまは、記者に囲まれながら、一字一句、ご表情や声色にも気を配って話されることにプレッシャーを感じられていました。ですが陛下とご一緒のビデオメッセージであれば、余計な緊張を強いられることなく、雅子さまの思いを伝えることができます」
前出の多賀さんも、国民は陛下と雅子さまのメッセージを待っているはずだと語る。
「エリザベス女王のスピーチのように短いものでいいのです。お気持ちをそのまま伝えていただければ、苦難のときに国民に寄り添われるお心は、きっと国民の心に伝わることでしょう」
18年ぶりに国民に届く雅子さまの“肉声メッセージ”は、日本に希望の光を照らすだろう――。
「女性自身」2020年4月28日号 掲載