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「国民の負託に自信をもって応えられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきではないと判断いたしました。総理大臣の職を辞することといたします」

 

安倍晋三首相(65)は8月28日に記者会見を開き、持病の潰瘍性大腸炎が悪化したことを理由に、辞意を表明した。7年8カ月という歴代最長政権は、皇室にとっても大きな存在だった。宮内庁関係者は次のように評価する。

 

「上皇陛下の退位による代替わりはつつがなく進み、天皇陛下の即位も国民の祝福をもって迎えられました。特例法の制定など、政権を上げた取り組みが実を結んだといえるでしょう」

 

その一方で、残された課題について厳しい指摘も口にする。

 

「国事行為である『立皇嗣の礼』はいまだに延期されたまま。そして、上皇陛下の退位特例法の際に約束された『安定的な皇位継承』についての議論も、次の政権に持ち越すことになりました。皇族の減少は喫緊の課題です。長期政権であったにもかかわらず、一切議論が進展しなかったのは由々しきことです」

 

安倍首相の辞任によって、はたして皇室にはどのような影響があるのか――。

 

「今後の政治状況次第で、愛子さまが皇太子、そして天皇になられる可能性が出てきました。国民の多くは女性天皇、すなわち愛子天皇を支持しており、こうした世論が政治に反映される方向に動けば、実現しうると思います」

 

こう話すのは、静岡福祉大学名誉教授で歴史学者の小田部雄次さん。

 

「自民党内には、根強い男系論者が少なくありません。しかし、安倍首相の支持勢力だった男系論者は、必ずしも自民党議員の多数派ではないと感じています」

 

安倍首相はかつて『文藝春秋』(’12年2月号)へ寄せた手記で《皇室の伝統と断絶した『女系天皇』には、明確に反対である》と主張していた。そもそも、小泉政権下の有識者会議は’05年、女性・女系天皇を容認すべきとした報告書をまとめていた。

 

しかし翌年、1度目の政権の座に就いた安倍首相は、その報告書を白紙に戻してしまった。安倍首相こそが14年前に、「愛子天皇」誕生の芽を摘んだ人物なのだ。

 

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