《霊元天皇即位図屏風》(部分)狩野永納筆(江戸時代・17世紀/京都国立博物館蔵) 画像を見る

話題のスポットやエンタメに本誌記者が“おでかけ”し、その魅力を紹介するこの企画。今週は、京都国立博物館で開催中の御即位記念 特別展「皇室の名宝」に行ってきました。

 

■御即位記念 特別展「皇室の名宝」11月23日まで京都国立博物館にて開催中

 

今回展示されているのは、宮内庁・三の丸尚蔵館の所蔵品を中心とする書や絵画、工芸品など約100件。狩野永徳、尾形光琳、円山応挙ら著名な絵師たちによる屏風などの作品が並びます。

 

中でも、伊藤若冲が40歳のときに描いた色鮮やかな《旭日鳳凰図》と《動植綵絵》、琳派の俵屋宗達の《扇面散図屏風》など、江戸時代の名作が間近で見られ、双眼鏡をのぞきながら時間をかけて作品を鑑賞する観客が多くいました。

 

記者が興味をひかれたのは、《蒙古襲来絵詞》です。まるですぐそばで見て描いたかのような、馬の躍動感と兵士の甲冑の緻密さ。物語を後の世に伝えたいという、いにしえの熱意が伝わります。

 

そして、全体で324メートルにも及ぶという《小栗判官絵巻》も、よくまあこれほど細かく丁寧に描いたものだなあと、感心するばかりです。

 

また、現代の即位式を私たちはじかに見ることができませんが、《霊元天皇即位図屏風》を見れば、江戸時代は庶民も即位式を見ることができたとわかります。中国の文化や美を取り入れて和に融合させていった王朝文化の雅の数々に、思わずため息が……。

 

事前予約優先制の今だからこそ時間をかけてじっくり鑑賞できます。

 

(取材・文:西元まり)

 

「女性自身」2020年11月17日号 掲載

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