■ご夫婦でのご公務を待ち望み続けられた天皇陛下
天皇皇后両陛下の側近も務めたことがある元宮内庁関係者も感慨深げだった。
「この30年の道のりはけっして平坦ではありませんでした。’03年12月に帯状疱疹で宮内庁病院に入院された後、翌年3月から雅子さまは、軽井沢にある小和田家の別荘で1カ月ほど静養されました。当時はまだ『適応障害』という診断が出る前で、このころがいちばん不安でおつらい時期だったと思います。
そういった時期だからこそだったのでしょう。天皇陛下は多忙なご公務の合間を縫って、軽井沢に駆け付け、雅子さまに寄り添われたのです。
また愛子さまが学習院初等科への登校に不安を感じられ、雅子さまが付き添われていたこともあります。そうしたときも天皇陛下は外では国民のために粛々とご公務に臨まれ、また東宮御所では、雅子さまと愛子さまを優しく支えていらしたのです」
一時期は、雅子さまがご公務にほとんど出席されず、陛下の“単独ご公務”が続いた。元宮内庁関係者が続ける。
「東京都内の式典でも、地方へのご訪問でも、陛下はいつも関係者に、このようにおっしゃっていました。
『雅子も来たがっていましたが、今回は残念ながら……』『次の機会には、ぜひ雅子もいっしょに』
こうしたお言葉は、お二人でのお出ましを願い出ていた式典の主催者らへのフォローという意味もありましたが、陛下の、“雅子さまとごいっしょに公務に臨みたい”という真摯なお気持ちの表れなのだと、私たちは感じていました」
雅子さまとお二人でご公務に臨まれるとき、天皇陛下はとてもうれしそうにされているという。ある宮内庁関係者によれば“楽しいお気持ちが、お体全体から感じられる”のだという。
「5月25日には、東京国立博物館で開催中の特別展『琉球』を、両陛下がご覧になりました。展覧会鑑賞などのために皇居からお二人で外出されるのは約2年3カ月ぶりのことで、このときも陛下のお気持ちが伝わってくるように思いました。
展示物についてお二人が腰をかがめて、目を合わせながらお話しになるお姿、また説明担当者にそれぞれがタイミングよく質問される息の合ったお姿などからも、両陛下の仲むつまじいご様子が感じられました」