■貧富の格差が広がる窮状にご心痛を……
恵まれない環境にある子供たちへ寄り添う活動に、全力を注がれてきた雅子さま。
「療養に入られる前から、雅子さまは困難な状況にある子供たちに心を寄せられていました。ご体調が思わしくないときでも、おしのびで聖路加国際病院の小児病棟を訪問されて重病の子供たちを励まされ、複数の児童養護施設をお訪ねになってきたのです」(前出・皇室担当記者)
インドネシアは著しい経済成長を続けるいっぽう、貧困層にある人々の数はおよそ2600万人に達するともいわれている。こうした人々の苦境には、雅子さまも心を痛めていらっしゃった。
「昨年7月に来日したジョコ大統領とイリアナ夫人との会見の際にも、夫人が取り組む子供たちへの支援活動が話題となりました。大統領夫人は、スラムに住む貧困層の子供たちに向けたコロナ対策の普及活動を紹介し、雅子さまは熱心にお聞きになっておられました」(前出・宮内庁関係者)
会見で打ち解けられたのか、お見送りの際に、夫人の手を合わせるインドネシア風の挨拶に応じて、雅子さまも手を合わせるしぐさをされていた。前出の皇室担当記者はこう続ける。
「イリアナ夫人は、ジャカルタ市内にある保護が必要な子供たちのリハビリテーション施設をたびたび訪問したり、孤児や貧困世帯の子供たちを大統領宮殿に招待するなど、積極的に子供たちを支援する活動に取り組んできました。子供の貧困や虐待といった社会問題に対して共感し合うからこそ、雅子さまも夫人のご活動をご覧になりたいお気持ちを抱かれているように感じます。
いっぽうで夫人も、雅子さまの恵まれない子供たちへの慈しみのお心をご存じでしょう。もし雅子さまのご体調が許すならば、貧困にあえぐスラムの子供たちを支援する施設にお招きしたいと、夫人も考えていると思います」
雅子さまにとって約20年半ぶりとなる国際親善を目的にした今回のご訪問には、“スラムの子供を抱きしめたい”という願いが秘められていたのだ――。
精神科医の香山リカさんは、今回のご訪問が雅子さまのご体調にとっても好ましい影響があると指摘する。
「雅子さまは海外を訪問されたことで、お若いころに過ごされた海外生活での思い出や、外交官時代のさまざまな人たちとの交流などを思い出されることでしょう。それは、“元気なころの私はこうだった”というように、以前のご自身のことを思い出すことにつながり、“力”になるのです」
苦しむ子供たちに寄り添うという熱望を心に抱きながら、これからも雅子さまは歩まれる。