■よいものを長く……皇室の伝統を忠実に
質素倹約に努めることは、元来皇室が大切にされてきた考え方だという。元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司さんはこう語る。
「東日本大震災以降、御所や宮殿の節電を徹底されています。宮殿で行われていた外国元首とのご会見など、少人数の行事はほとんど御所で行われるようになりました。宮殿は広く、天井も高いため、空調などで使用する燃料や電気使用量も多いのですが、こうした取り組みによってかなり抑えられました。
皇室の方々は、よいものを長く使うことを伝統とされています。天皇陛下が学習院初等科でお使いになったランドセルは、上皇陛下のおさがりでした。お召し物や家具などのインテリアも、お直しや修理ができる限りお使いになります。国民と共に歩み、苦労を共にするという伝統を、天皇ご一家は引き継がれていらっしゃるのです」
とくに雅子さまは、装いにも倹約の精神が表れていると、ファッション評論家の石原裕子さんは次のように話す。
「今年の歌会始の儀でお召しになったドレスは、2015年にトンガのトゥポウ6世の戴冠式でお召しになったローブ・モンタントでした。美智子さまはスカートの丈を短くされたり、会われる方によりコサージュの花などを替えたりと、少しリフォームされ繰り返しお召しになっていました。
そして雅子さまも、皇太子妃時代からお気に召されたお洋服やアクセサリー、お靴などを丁寧に手入れされながら、繰り返し何度もお召しになっているのです」
雅子さまの「国民と節約を」というご姿勢は、幼いころの愛子さまにも受け継がれていた。
「皇太子時代に、陛下が手を洗うために水道の蛇口を開けたまま、せっけんを泡立てていたら、幼い愛子さまが『出しっぱなしはダメ』と注意して蛇口を閉めたことがあったそうです。日々の節電だけではなく、家具やお手回り品を長く大切に使うという“倹約の精神”を学ばれた愛子さまは、いまもさまざまな工夫をご生活の中でこらされていると聞いております」(前出・宮内庁関係者)
天皇陛下と愛子さまと手を取り合われ、雅子さまは“国民と共に歩む”という決意をさらに固められる夏を過ごされている。