■10メートルも離れてしまわれた上皇ご夫妻
確かに冒頭で紹介した松任谷由実とのやり取りでも、ご夫婦でフォローし合うように交互に話しかけられている。ちなみに“ひふみん”こと、ベテラン将棋棋士・加藤一二三氏とのやり取りは、次のようなものだった。
陛下「加藤さんも将棋界の発展のために、たいへんご尽力なさって」
雅子さま「長年にわたって、小さいときから、中学生のときに……」
加藤「はい、中学生のときに棋士になりました」
この後、両陛下と加藤氏は猫の話題で大いに盛り上がっていた。こうして会話が終わると、お二人で次の招待者に話しかけられるという、いわば“おしどり接遇”でいらしたのだ。
「今回、報道陣の一部からは、『天皇陛下と雅子さまのお顔がかぶってしまって撮影が難しい』という声も上がっていたのですが、それだけお二人が寄り添われていたということなのでしょう。
あたりまえのように聞こえるかもしれませんが、実は上皇ご夫妻は異なるスタイルをとられていました。平成時代の園遊会では、上皇さまと美智子さまがお元気だったころは、それぞれ別の人物とお話しになることが多かったのです。
ただ上皇さまと美智子さまでは、会話に割かれる時間がかなり違いました。温かな話されようながら、やや言葉数は少ない上皇さま。そして豊富な知識や語彙を駆使して、軽妙に会話を楽しまれる美智子さま。
どうしても美智子さまのほうが一人一人との時間が長くなり、少しずつ上皇さまと美智子さまの距離が広がってしまうこともしばしばありました。ときには10メートル以上も広がってしまうこともあり、美智子さまの後にお話しになる皇族方が順番をお待ちになっているという場面もよく見られました」(前出・宮内庁関係者)
天皇陛下と雅子さまは、“脱・美智子さま流”ともいうべき新しいスタイルで接遇に臨まれているが、
「美智子さま流を継承されている皇族もいらっしゃいます」
と、前出の宮内庁関係者。
「紀子さまも、お一人お一人と非常に丁寧にお話をされていました。そのため秋篠宮さまが先行する形になり、秋篠宮さまはときどき両陛下と紀子さまの間でお待ちになっていたのです」
令和を襲ったコロナ禍の影響も少しずつ薄れており、園遊会の招待者も来年以降は増えていく可能性が高いという。天皇陛下と雅子さまが編み出された“おしどり接遇”は今後も、たくさんの笑顔の花を咲かせていくに違いない。