■近現代の皇室が支えてきた日赤
現在の名誉総裁は雅子さまが務められ、妃殿下方も名誉副総裁に名を連ねられている日赤。静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんによれば、皇室は日赤の設立当初から、その発展を支えてきたという。
「スイス人のアンリ・デュナンが提唱した赤十字運動の“敵味方なく救護する”という精神に共鳴し、1877年に設立された博愛社を母体として、1887年に日本赤十字社に改称され今に続いています。
なかでも明治天皇の后であった昭憲皇太后は強力に支援され、日赤にたびたび賜金を下されました。また、各国赤十字社に対しても当時の10万円(現在の約3億5千万円)を寄付されて昭憲皇太后基金となり、現在も世界各国の赤十字社と赤新月社に配分され続けています。
こうしたお務めは戦後も変わらず、香淳皇后、美智子さま、雅子さまと名誉総裁が引き継がれてきました。全国赤十字大会やフローレンス・ナイチンゲール記章授与式などの行事への出席など、活動に大きく貢献されているのです」
愛子さまが8年前に広島で誓われた“平和を人任せにしない”というご決意は、雅子さまへと受け継がれている日赤での活動を身近でご覧になるうちに、“自分もその活動を最前線で担う”というご覚悟へと結びついていた――。
愛子さまは、昨年5月と7月に、日赤の社長らによる両陛下へのご進講などに同席されていた。前出の宮内庁関係者によれば、
「日赤が手がける医療や社会福祉事業だけではなく、世界各国の自然災害や紛争の現場での救援活動に、強く共感されていたとうかがっています。
昨年10月に日赤が開いた関東大震災100年の企画展を、愛子さまは両陛下とともにご覧になっています。展示を説明する日赤の関係者が舌を巻くほど、日赤が当時行った救護活動や衛生対策について詳細にご存じだったそうです。今となって考えてみれば、このころには“日赤で働きたい”というお気持ちを固められていたのだと思えます」
前出の小田部さんは、国内はもとより、愛子さまが世界を視野に入れた活動にも従事される可能性について、こう期待を寄せている。
「デスクワークだけにとどまらず、ご公務と両立する範囲内で、十分安全に配慮されながら、国際的な人道支援や平和維持活動などにも関わっていただければと願っています。激動する世界情勢の最前線で活躍していただくことは、平和と安寧を願う皇室の柱である天皇家のご長女として、これ以上ない素晴らしいことだと思っています」