■言語化できない“歴代天皇の学び”
陛下が述べられた“甥”への期待感は、皇室が現在直面している課題と密接に関わっていると、静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんは指摘する。
「現在の皇室典範が定める皇位継承者が『男系男子』に限られている以上、皇統の安定は将来において唯一の男系男子となる悠仁さまのご存在にかかっています。
陛下と雅子さまは、未来の皇室にとって悠仁さまの健全なご成長を重要な問題として捉えていらっしゃるようにお見受けします。さらに、両陛下と接するお時間が短いことは、悠仁さまの帝王教育にとって、好ましいことではないのです」
皇室は古来、皇位継承者だけに特別な教育を施してきたが、どのような内容なのか。前出の小田部さんは次のように続ける。
「明治時代には『帝王学』として、天皇や側近、学者らと語らい、皇位継承者は全人格的に指導されながら、“天皇としての学び”を身に付けていました。戦後は『象徴学』とも呼ばれるようになり、そのあり方も時代とともに変化してきました。
こうした帝王教育は、歴代天皇の事績やなさりようから、現実の政治経済や科学技術、芸術といった幅広い教養まで、簡単には言語化できないさまざまな判断や対応を伝承していくものです。
陛下のお傍にいることで伝わることも少なくないでしょうし、現在のような直々のお声がけがなされない状況が続けば、悠仁さまが将来即位された際に、さまざまな場面で対応に苦労される状況が生まれる懸念があるのです」
悠仁さまが御所を訪ねられる機会は、お誕生日や新年のご挨拶などに限られ、多くはない。悠仁さまの帝王教育は、秋篠宮ご夫妻がいっさいを担われているが――。
「秋篠宮ご夫妻は、悠仁さまが日本各地の歴史や風土に接する機会を増やすことを大切になさってきました。また、上皇ご夫妻ともなるべくともに過ごされる時間を作ることに努められています。
ただ、秋篠宮さまは“天皇となる教育を受けていないとおっしゃった”という報道があるほか、2022年のお誕生日に際しての記者会見で、悠仁さまの皇位継承者としての教育方針について明言を避けられるということがありました。悠仁さまの帝王教育に秋篠宮さまも悩まれているような現状に、両陛下も危機感を募らせていらっしゃるのではないでしょうか」(皇室担当記者)
こうした危機に、雅子さまは陛下に“頂上会議の復活”を進言されているというのだ。
「平成の御代には、上皇さまと天皇陛下、秋篠宮さまが月に一度程度集まられ、皇室の課題などを話し合われる“頂上会議”が、美智子さまの発案で2012年から2019年4月まで行われていました。
令和となってから行われておりませんでしたが、雅子さまは陛下と秋篠宮さま、悠仁さまお三方が御所に集われる“頂上会議”の復活を提言されているようです。陛下も悠仁さまの帝王教育に加わられることは、皇室の未来にとって有意義であることは間違いないでしょう」(前出・皇室担当記者)
雅子さまのご提言が実を結び、令和の“頂上会議”が実現すれば、皇室の伝統と未来は守られる――。