■もっと子供たちを笑顔にしてほしい
社会貢献活動に熱心だった百合子さまは、社会福祉法人恩師財団「母子愛育会」の総裁を62年間にわたってつとめられた。
「社会的に困難な立場にある人々へのまなざし、皇室の国民への歩み寄りの姿勢を百合子さまは持ち続けられたと思います。そこにはスリランカのご訪問が影響していると思います。
そのような百合子さまの姿勢が国民の皇室への敬愛を深めてきたともいえます。戦前戦後を貫く皇室のよき伝統を守られてきたお一人でした」
そんな百合子さまの傍らには、いつも68年前にスリランカを訪問されたときの記念品であるゾウの置物があったという。
アヌーラは、今日も元気で子供たちの前を悠然と歩いている。
「アヌーラは優しいゾウで、頭もいいです。海外の動物園にいる高齢のゾウのなかには、認知症のような症状が出て、自分が帰る場所がわからなくなったりするゾウもいるようですが、アヌーラはしっかり自分の居場所に戻ります。
最近、歯がすりへってきているのか消化が落ち、エサの草も細かく切ってから与えるようにしています。
長生きして、もっと子供たちを笑顔にしてほしいですからね」(齋藤さん)
大正、昭和、平成、令和と激動の時代を生き抜かれた百合子さまの思いを、きっとアヌーラが受け継いでくれるはずだ。
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