■両陛下のご決断が皇警の意識を変えた
2022年6月、『週刊新潮』が《皇族への「悪口」はびこる「皇宮警察」》と題し、幹部職員が学習院初等科に通われていたころの愛子さまを“クソガキ”と陰で日常的に呼んでいたり、渋滞にはまって苛立つ紀子さまの表情を“般若”と揶揄した職員もいたと報じた記事により、宮内庁内にも衝撃が走った。
しかもその報道前にも、皇宮警察学校での未成年飲酒、窃盗容疑で護衛官が逮捕など、毎年のように不祥事が起こっていたのだ。
「報道の後、皇警幹部がお詫び行脚を行いましたが、皇警に対しての皇室の方々や宮内庁の不信感は相当なものでした。しかし両陛下は、“皆を信頼しているし、日ごろの感謝を示したい”と、あえて年頭視閲式に出席される意向を示されたのです。
両陛下のご出席が決まった後、本番直前のリハーサルは氷雨が降る中でしたが、例年とは異なる緊張感が漂い、奮い立つ護衛官たちの様子は強烈に印象に残っています。また今年の年頭視閲式に天皇ご一家が参加されたことは、皇警そのものへの注目度も高まるので、人材確保という点からもメリットが大きいといえます」(前出・宮内庁関係者)
それにしても、天皇の娘である内親王が、年頭視閲式に参加した前例はない。愛子さまが初めて出席されたことには、両陛下のある強い願いが表れていると、前出の皇室担当記者は語る。
「陛下と雅子さまが、愛子さまを同伴されたのは、“身近な人にこそ誠実に日ごろの感謝を伝え、信頼をいっそう高めていく”ことの大切さを伝えられたかったからではないでしょうか。
宮内庁と皇宮警察本部は、それぞれ1千人規模の職員を擁する組織です。彼らとの交流の積み重ねが、組織を束ねていくリーダーシップに欠かせないということも、両陛下は愛子さまに示されたかったのではないかとお見受けしています」
いまや皇室の次世代を担う要となられている愛子さま。『天皇家の帝王学』(星海社新書)などの著書がある静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんも、愛子さまが参加された意義は大きいと話す。
「風紀が乱れていたと報じられた過去も、より親密に交流する形で乗り越えられようとする両陛下のスタンスは、護衛官たちの心にも響くものがあるはずです。また皇警の護衛官たちに職務の重大さをより具体的に自覚させるという点でも、大きな意味があるようにも思います。
愛子さまも、居並ぶ皇警の護衛官一人ひとりの表情やまなざしから、皇室を支える人々との絆の大切さを実感なされたのではないでしょうか。そこから生まれる感謝のお気持ちは、愛子さまの“帝王教育”にとっても、とても望ましいことであると考えています」
周囲を気遣うことの大切さから生まれるリーダーシップーー。天皇陛下と雅子さまによる“渾身の教え”を学ばれ、愛子さまは皇室の将来を支えられる存在として、着実に成長を遂げられている。
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