■令和の御代でも継承する慰霊の旅路
1月31日、政府は7月に両陛下がモンゴルを国賓として公式訪問される方向で調整していることを発表した。歓迎行事などのほかに、戦後同国で倒れた日本人たちの御霊に、両陛下が祈りを捧げられる日程も検討されているという。
「第二次世界大戦後、旧ソ連によってモンゴルに移送された抑留者は約1万4千人。うち2千人近くが亡くなっています。首都・ウランバートル郊外には、日本人抑留者の慰霊碑があり、2007年に皇太子時代の天皇陛下が同国を公式訪問した際、供花されています。当時雅子さまも同国への訪問を望まれたものの、ご体調のさらなる悪化が懸念されたため、結果的に断念されたのです。
天皇皇后によるモンゴルへのご訪問は初めてですし、雅子さまはこのご訪問にかなり強いご決意を抱かれていらっしゃるようにお見受けしています」(前出・皇室担当記者)
陛下と力を合わせて臨まれる令和の慰霊の旅は、どのように形作られていくのだろうか。名古屋大学大学院准教授の河西秀哉さんはこう話す。
「戦時下のご体験を持つ上皇ご夫妻と異なり、天皇皇后両陛下は戦後生まれです。しかし、“戦争の記憶を忘れずに受け継ぐ”というご意志が、積極的なご訪問に表れていると思います。
両陛下は、上皇ご夫妻の足跡をたどりながら、先の大戦の記憶の継承の連続性を示されようとなさっているのではないでしょうか。さらに、日本人抑留者の慰霊碑へのご訪問は、抑留という痛ましい歴史に光を当てていくという意義も大きいように感じています」
ご家族での思い出に癒されながら、18年前の心残りを晴らすため、雅子さまは春に向けて静かに情熱を燃やされている。
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