分厚い雲が東京都内を覆っていた5月10日の午前11時半ごろ、病院から、上皇さまと美智子さまがお車に乗り出てこられた。窓ガラス越しではあったが、美智子さまのご表情には、安堵の色が浮かんでいたように見える。
上皇さまが心筋虚血の可能性が高いと診断されたのは5月4日のこと。その2日後の6日に、上皇さまは検査のため東京大学医学部附属病院に入院され、美智子さまは連日見舞われていた。宮内庁関係者はこう明かす。
「定期検診で懸念すべき所見が見つかり、入院して超音波検査などで詳細に調べたところ、無症候性心筋虚血という診断を受けられました。上皇さまご本人も自覚症状がないご様子だったので、宮内庁内にも驚きが広がったのです。
それにしても、検査している時間を除き、美智子さまは上皇さまのお傍を片時も離れられなかったそうです。病院でお食事をいっしょに召し上がり、検査中も隣室に控えられていました」
上皇さまは2012年に、狭心症の治療のため心臓の冠動脈バイパス手術を受け、また2022年には右心不全と診断され、薬の服用や水分の摂取制限といった治療を続けられてきた。今回診断された無症候性心筋虚血とは、どういった病気なのか。
日本循環器学会専門医で、桂川さいとう内科循環器クリニックの齋藤成達院長はこう語る。
「心筋虚血は、心筋への血流が一時的に不足する状態です。胸が苦しくなったり、不整脈などを引き起こします。症状がない無症候性という形で見つかることも多く、高齢者や糖尿病の持病がある人は特に注意が必要とされています。
上皇さまは2012年の手術から時間がたっているので、移植した血管や温存した血管の再狭窄、あるいは新たな動脈硬化の進行により心筋虚血となることは、それほど珍しいことではありません」
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