■皇室に向けられる県民の複雑な思い
天皇陛下と雅子さまが、愛子さまに学んでもらい、感じてほしかったのは、皇室の歴史が抱く“闇”の部分でもあったのだろう。
皇太子時代の上皇さまが1975年に名誉総裁を務めた沖縄国際海洋博覧会では、上皇ご夫妻に対して過激派が火炎瓶を投げつける「ひめゆりの塔事件」が起きた。今回の天皇ご一家の訪問に対しても、反対する抗議グループが警察官ともみ合いになり、1人が公務執行妨害で逮捕される事案も起きている。
昭和天皇の名において始まった太平洋戦争。沖縄戦では多数の民間人が巻き込まれ、県民4人に1人が犠牲となっただけに、皇室に否定的な思いを抱く人も少なくなかった。静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんはこう話す。
「戦時中の犠牲だけではなく、戦後も長く米国の施政権下に置かれ、現在も米軍基地が置かれる沖縄は、いまでも“戦争の負の遺産”に苦しめられています。
こうした歴史があるからこそ、沖縄の人々へお心を寄せることに、戦後の天皇家は力を尽くされてきたのです。上皇ご夫妻、両陛下が重ねた取り組みは、皇室に対して複雑な感情を抱く人々に、少しずつ戦後の天皇家の平和への思いを伝えてきたように思います。
そうした戦後の天皇家の重要な責務を、次世代を担う愛子さまに継承していただくことは、皇室への敬意と崇敬の念を、末永く国内外に示していくためには非常に重要なことだと言えるでしょう」
昭和、平成、令和の皇室が向き合ってきた“光と闇”を沖縄で体感された愛子さま。両陛下から受け継がれた“魂”の後継者として、これからも愛子さまは、平和な光に包まれた世界の実現を希求されていく――。
画像ページ >【写真あり】「TPO完璧」と称賛集められた、沖縄ご訪問での愛子さまと雅子さまの“徹底リンクコーデ”(他14枚)
