■“アドリブ”が得意な陛下とともに……
陛下といえば、若かりしころから“アドリブ”にお強いエピソードに事欠かない。1991年9月、北アフリカのモロッコを訪問された際、陛下が一時“行方不明”となるハプニングが起きた。当時宮内庁職員として同行した、皇室解説者の山下晋司さんはこう振り返る。
「両国の皇太子が夕日の美しい公園を馬車に乗って見学されました。見学終了後に両皇太子は車に乗り換えて、すぐに出発されたのですが、東宮侍従長と東宮侍従が乗るはずの車も二人を乗せずに出発してしまったのです。同行記者団の報道バスも置いてけぼりでした。日本では考えられないことですが、いまとなっては印象深い思い出です」
だが陛下は動揺することなく、むしろ楽しまれていたご様子だったという。
「陛下は警備陣がかき分ける群衆の間を悠然と歩き、人々と交流されていたのです。ご帰国後の記者会見で“普通の人々の生活が見られてよかった”と話され、とっさのご機転に宮内庁職員も感服しきりだったことが思い返されます。
昨年の英国ご訪問の際、バッキンガム宮殿でスピーチに臨まれた際にも、アドリブでおことばを加えられたことがありました。雅子さまとともに母校・オックスフォード大学を訪ねることを語り、『国王陛下の母校のケンブリッジ大学ではありませんが』と原稿にない一節を加え、場を沸かされたのです。
お二人でこれまでの国際親善での思い出などを振り返る日ごろの語らいによって、雅子さまはどのようなことにも対応できる“アドリブ力”を磨かれてきたようにお見受けしています。きっとどのような困難があろうとも、“陛下となら乗り越えられる”と、お力を合わせて臨まれていくのでしょう」(前出・皇室担当記者)
ご夫妻の日ごろの語らいも、“愛の特訓”に……。雅子さまは陛下のサポートを受けながら、歓迎するモンゴルの人々を、温かなご慈愛で包み込まれるはずだ。
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