「福島の復興に役立てればと思い、この工場を建てたんですよ。経産省のバックアップもあってなんとかですが……。もともと若手の働き口になればという思いもあり、今年の新入社員も含めれば17人の若手従業員がいます。全員が福島出身の被災者ですね、原発に近いここ双葉町で働くことを反対する親御さんもいたなかで、うちの工場を選んでもらったのはうれしいです」
こう語るのは、「浅野撚糸株式会社」社長の浅野雅己さん(65)だ。
4月6日に天皇ご一家は、福島県・双葉町にある「東日本大震災・原子力災害伝承館」を訪問された。浅野社長が経営する撚糸工場「フタバスーパーゼロミル」は伝承館のすぐ近くにある。本社は岐阜県にあるが、双葉町に工場を建設して3年が経つという。
「浅野さんはテレビ番組『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)にも出演したことがあり、ヒット商品の高吸水性タオル『エアーかおる』など、タオルを生産・販売しています」(皇室担当記者)
福島復興のため尽力する浅野さん。実は皇室とは、平成の御代から“ご縁”があるという。
「’10年に岐阜県で『全国豊かな海づくり大会』が行われ、上皇ご夫妻が来県されたのです。そのとき『エアーかおる』を知事推奨品として、上皇さまと美智子さまに紹介していただきました」(浅野さん)
県職員が「テニスにうってつけですよ」と紹介してくれたこともあり、美智子さまが4セット計8枚をご購入。その後、女官長を通じて「とても気持ちのいいタオルですね」という美智子さまのお言葉とともにカタログを所望される旨の連絡が入ったそうだ。
お気に召していただいたことが浅野社長の自信になり、心の支えになったという。
「昨年は福島の復興推進委員として園遊会にもお招きいただき、天皇陛下から『復興状況はどうですか』と、ご質問も賜りました」(浅野さん)
今回、浅野さんは天皇ご一家が「東日本大震災・原子力災害伝承館」を訪問されることを知り、社員といっしょに奉迎のために駆け付けた。
「天皇ご一家の行幸啓により、被災地に光が射すのです。ご一家によって、文字通り被災地が変わります。双葉町にお越しいただいたことは大変嬉しいですし、園遊会でお話したこともあって被災地のことを知っていただきたいという思いが強くありました。
以前、能登半島地震で被害にあった高校生がうちの工場に見学に来てれたことがありました。高校生が『あなたにとって震災とはなんですか』と社員に尋ねたのです。その時、対応していた鈴木志保(21)という若手社員は、『私がここにいることです』と言いました。
能登半島地震の時、会社の業績も落ち込んでいたので、彼女の言葉に目頭が熱くなりました。天皇ご一家には、若者たちが福島にいることがなによりの復興の証だと、もし機会があればお伝えしたいと考えています」
天皇ご一家のご訪問は、地元の関係者たちにとって“光そのもの”だった。
画像ページ >【写真あり】4月6日、「東日本大震災・原子力災害伝承館」付近には大勢の奉迎者が(他2枚)
