この時季、忙しいのは耳鼻科だけではなかった。クリニックに駆け込んだ多くの患者が訴えたのがくしゃみによる腰痛。思わぬけがをしないための正しいくしゃみの仕方を専門家に聞いた。
■花粉症患者の4人に1人がぎっくり腰に!
スギ花粉の飛散量がピークを迎えている。目のかゆみや鼻詰まりに加え、止まらないくしゃみに悩まされている人も多いだろう。
しかし、注意すべきなのは花粉症の症状だけではない。この季節は、くしゃみや咳が原因で、腰や背中を痛める人も少なくないのだ。
腰痛治療を専門とするNLC野中腰痛クリニックが花粉症に悩む40~60代の男女1千人に調査した結果、約3割が、ぎっくり腰や腰痛を感じたことがあるという。さらに、どんなときに腰の痛みを感じるか聞いたところ、7割近い人が“くしゃみをしたとき”と回答した。
この調査を裏付けるように、タレントの若槻千夏(40)は、自宅でお弁当を作っている最中にくしゃみをし、その衝撃でぎっくり腰になったというエピソードを、過去のイベントで登壇した際に明かしている。また、芸人の狩野英孝(43)は、3月6日放送の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「花粉症で大きなくしゃみをしたら、肋骨を折った」と語りスタジオを驚かせた。
■くしゃみで椎間板ヘルニアになる危険性も!
「花粉症のシーズンに、くしゃみが引き金となって腰や背中を痛める方は多いです。当院も、花粉症の季節になると決まって増えてくるのが、ぎっくり腰です。この時季になると毎日3~4人の方が腰の痛みを抱えて来院されます。
腰痛やぎっくり腰の方が、咳やくしゃみを繰り返すと、さらに腰に負担がかかり、椎間板ヘルニアを引き起こすこともあります」
こう語るのは、JCC池袋整体院の福井由司さんだ。
くしゃみや咳による衝撃で、腹圧が上がることにより、椎間板内の髄核が移動してヘルニアになることもあるのだという。
日常的な何げないくしゃみが、椎間板ヘルニアにつながるリスクがあるとは、何とも恐ろしい話だ。
「1回の大きなくしゃみや咳で、突然ぎっくり腰になるわけではありません。くしゃみはあくまで引き金に過ぎません。疲労や寝不足など、さまざまな要因が日々腰に負担をかけています。くしゃみによってその負担が限界値を超え、ぎっくり腰を引き起こすのです。
今の時季、花粉症の方はくしゃみの回数が多く、腰は常に衝撃にさらされています。ぎっくり腰になる要因がいくつも重なっているため、特に注意が必要です」(福井さん、以下同)