(写真・神奈川新聞社)
関東大震災から93年を迎えた1日、震災直後に起きた朝鮮人虐殺の史実を学ぶフィールドワークが横浜市内で開かれた。歴史を学ぶ市民の会・神奈川(北宏一朗代表)の主催。約40人の参加者は「朝鮮人が襲って来る」といったデマが引き金になった惨劇を追体験し、無念の死に思いをはせた。
同市南区を流れる堀割川の橋の上、元市立中学校教諭で案内役の後藤周さん(67)が「この先の中村橋が現場の一つだった」と説明し、当時の小学生がつづった作文を読み上げた。
「朝鮮人がころされているというので見に行ったら、頭に十か所ぐらい切られていた」「朝鮮人を橋の上でおおぜいの人たちがかたなできったり、てつぼうでぶったり、やりでつついたりしていました」
淡々とした筆致が真に迫り、じっと聞き入る参加者たち。震災作文を手掛かりの一つに虐殺の実相を追って研究を続ける後藤さんは「当時の朝鮮半島は日本の植民地支配下にあった。人々がデマを信じた背景には出稼ぎでやって来た朝鮮人への差別感と蔑視、無関心があった。いま外国人に関心を持ち、友人を得れば過ちを繰り返さないだろう」と語り掛けた。
ニューカマーの外国人支援を行っている同市神奈川区の女性(55)は「単なる労働力として受け入れられている外国人はいまも日本社会から分断されている。現場を歩き、現代に続く課題を体感することができた」と話していた。
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