(写真・神奈川新聞社)
藤沢市は30日、2018年の供用開始に向けて建設中の新庁舎について、敷地内全面禁煙とする方針を明らかにした。江の島が20年東京五輪のセーリング競技会場に決まっていることを踏まえ、市は「受動喫煙防止を推進する必要性が高まっている」と説明する。自治体庁舎の敷地内すべてを禁煙とするケースは珍しい上、政府が目指す「屋内禁煙」よりさらに踏み込んだ規制強化の流れで、議論を呼びそうだ。
同日の市議会特別委員会で意向を明らかにした市は、新庁舎と整備予定の新館で受動喫煙対策を進めると説明。昨年10月に施行した市独自のガイドラインに基づき、現在の「屋内禁煙」から、屋外も含め敷地内は禁煙とする「敷地内禁煙」に変更するとした。
県受動喫煙防止条例は、施設管理者に対し、禁煙または分煙の措置を講じるよう義務付けているが、公共的施設に喫煙所を設けることは認めている。県健康増進課によると、昨年4月に県内の受動喫煙対策を調査した際、全庁舎で「敷地内禁煙」とする自治体はなかったという。
市健康増進課は、市の敷地から喫煙所を撤去することについて、「国の受動喫煙対策も進んでおり、市としてもたばこを吸わない人の健康を守る権利を重視していきたい」と説明。一方で「個人の趣味や嗜好(しこう)を制限するものではない」と強調する。
市ガイドラインは、医療機関や児童施設、学校など「未成年者や妊婦・有病者が多く利用する施設」は敷地内禁煙とし、劇場や百貨店、駅、福祉施設など「特に公共性の高い施設」は敷地内禁煙または屋内禁煙と明記。同課によると、策定前には400件超の意見が寄せられ、その大多数が「敷地内禁煙までする必要があるのか」「分煙で十分」といった否定的な意見だったという。
東京五輪・パラリンピックに向けた受動喫煙防止対策を巡っては、政府は健康増進法改正による規制強化を目指しており、厚生労働省は、官公庁や運動施設などの屋内禁煙を義務付け、違反した場合は施設管理者と喫煙者に罰則を科す、などする対策案をまとめている。