(写真・神奈川新聞社)
2009年3月に焼失し、再建が進められてきた「旧吉田茂邸」(大磯町)の落成記念式典が26日、近くの大磯プリンスホテルで開かれた。孫の麻生太郎副総理や自民党の二階俊博幹事長ら政界関係者をはじめ、黒岩祐治知事ら地元関係者が出席し、再建を喜んだ。
政財界の大物が意見を求めて「大磯参り」を繰り返すなど、戦後政治史の舞台として知られる旧吉田邸は、吉田元首相の養父健三が1884年に別荘として建築。戦後、海外の要人を招くために総ひのき造りの数寄屋風にした。
麻生副総理は「小中学生時代は毎週末、ここ(旧吉田邸)に連れて来られたが、日曜日が大事な時間だった中学生にとってはとても迷惑な話で、あまりいい思い出はなかった」と独特の言い回しで過去を振り返った。
1979年には当時の大平正芳首相とカーター米大統領の首脳会談も行われた。菅義偉官房長官は「戦後政治の舞台であり、歴史的にも極めて意義深い」と強調。2009年3月の焼失から8年を経ての再建に「皆さんの努力があってこそ。末永く次の世代に引き継がれることを願う」と述べた。
再建には約3億円の募金が寄せられ、15年に着工。昨年5月末に事業が完了した。完成した旧吉田邸は、応接間棟や食堂棟などを再現。首相官邸と直結する黒電話(複製)や、吉田元首相特注の和食器なども並ぶ。式典後の内覧会に訪れた関係者らは、思い出の品々に見入っていた。
麻生副総理は「この地が再び活気を取り戻す一助になれば」とし、大磯町の中崎久雄町長は「吉田茂元首相の思いを忘れることなく、次世代に伝える努力をしていく」と話した。
一般公開は4月1日から。入場料は大人500円、中高生200円。問い合わせは、町郷土資料館・電話0463(61)4700。
関連カテゴリー: